1761abab┃図3┃臍部単孔式体腔外虫垂切除(自験例)a)根部で二重結紮,切離b)創部は埋没縫合している┃図4┃吊り上げによる困難例(自験例)a)気腹を行い,視野を確保し牽引を可能にしているb)牽引不可の場合は,エンドループ等により処理しているるが,必要な場合は多量の生食水を創部から直接カテーテルチップや漏斗で注入し,吸引は開腹用吸引器を使用して洗浄液の残存がないように留意している。ドレーンの留置は創感染を増加させ入院期間延長にも関与するため,基本的に行わない4)。また,当科における急性虫垂炎穿孔または膿瘍形成例における虫垂切除術後でさえも予防的腹腔内ドレーン留置の検討では,表層および深部切開創SSIの発症率はドレーン留置群で20.0%,ドレーン非留置群で5.5%と有意にドレーン留置群で高かったこともあり5),2013年以降,ほぼ全例にドレーンは留置していない。クリニカルパスは科学的根拠に基づき診断から治療までを標準化したもので作業の効率化と医療資源の有効利用を目的とし,近年さまざまな疾患に積極的に導入されている。スタッフが共通の意識を共有しチームとしての機能を発揮しやすく,急性虫垂炎においてもとくに術後合併症発生のリスクが高い場合,予測された経過とのずれ(バリアンス,逸脱)を早期に認識,対応し最小限にするべく努めている6)。具体的な術後管理として胃管はイレウスがなければ覚醒時に抜去,飲水は術後3時間から許可,経口摂取は術翌日より開始しⅡ.クリニカルパス
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