1660後感染症が発症した場合には,遠隔臓器からの転移性感染症や手術部位の縫合不全などのトラブル,術創の汚染を起こすような処置などの感染対策の破たんなどが原因となり得る。そのため,治療に際しては,血液培養や局所の滲出液などの適切な検体を採取して,原因となった微生物を細菌学的な検査で同定し,薬剤感受性に応じた適切な抗菌薬を十分量投与すると同時に,必要なドレナージも併用して行うことが求められる。それらの感染症をすべて予防する抗菌薬は存在せず,なんとなく「長期の予防をすればそれらの感染症を避けることができる」と考えるのは,より治療を困難にする誤った考え方であることを追記しておきたい。2)日本外科感染症学会消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン作成委員会編:消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン2018.診断と治療社,2018〈http://www.gekakansen.jp/pdf/guideline2018.pdf〉3)WorldHealthOrganization:Globalguidelinesforpreventionofsurgicalsiteinfection.WorldHealthOrganization,2016〈https://apps.who.int/iris/bit-stream/handle/10665/250680/9789241549882-eng.pd-f?sequence=8〉文 献1)日本化学療法学会/日本外科感染症学会後感染予防抗菌薬適正使用に関するガイドライン作成委員会編:術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドライン.日本化学療法学会/日本外科感染症学会,2016〈http://www.chemotherapy.or.jp/guideline/jyutsugo_shiyou_jissen.pdf〉
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