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1657┃表2┃周術期感染予防のための抗菌薬投与の適応┃表3┃予防抗菌薬1回投与量通常1g1g1g1g1.5〜3.0g500mg15mg/kg(実測体重,最大2gまで)12mg/kg(術前単回使用時)5mg/kg(肥満における体重の調整:理想体重+超過体重×0.4)手術創分類からみた適応1)クラスⅠ(清潔創):一部で抗菌薬の使用は不要である。2)クラスⅡ(準清潔創):予防抗菌薬の適応とする。3)クラスⅢ(不潔創):SSIリスク因子の存在を参考に予防抗菌薬または治療抗菌薬の選択を検討する。リスク因子を認めない症例は予防抗菌薬の範疇とし,SSI高リスク症例では治療的に抗菌薬を使用し,選択や投与期間は予防投与と異なった考え方で行う。4)クラスⅣ(汚染-感染創):予防でなく,治療的に抗菌薬を使用する。抗菌薬CEZCMZFMOXCTMSBT/ABPCMNZVCMTEICGM1回投与量≧80kg2g(≧120kg,3g)2g2g2g3.0g500mg(術中再投与しない場合1,000mg)〔文献1)より引用改変〕〔文献1)より引用改変〕与の間隔を延長する(表4)。VCMの投与を行う場合,通常の治療では,腎障害を避けるためにトラフ値を20μg/mL以下となるように設定するが,手術中の投与では,単回投与を行う場合,必ず術後にトラフは0になるため,トラフの測定は不要である。VCM(vancomycin)は,通常血中濃度のピーク値は腎障害との関連は考慮されないが,高度の腎機能障害のある患者の場合には血中濃度が高くなり,腎障害を起こすことがあるため,VCMは適応外となる。また,短時間に1,500mL以上の大量出血が認められた場合,決められた再投与間隔を待たずに追加投与を考慮する。周術期の感染予防は,治療とは異なることはすでに述べた。対象とする細菌は,手術部位に存在する常在菌や汚染細菌の殺菌や増殖抑制が目的であり,遠隔部に存在する感染症や術野に発生した感染症の治療とは異なる。そのため,手術部位や手術の種類に応じて,対象となる細菌群が異なり,それらを標的とし,かつ局所へ移行する抗菌薬を選択することが第一の基準となる。心臓血管外科や整形外科,脳神経外科などの手術においては,術創が本来清潔な臓器であり,周術期感染予防は皮膚常在細菌のみを対象菌種として抗菌薬を選択する。この場合の抗菌薬はCEZが代表的である(表5a)1)。皮膚常在細菌に加え,手術操作が及ぶ部位から臓器特有の常在細菌を対象とする場合には,それらにも有効な抗菌薬を選択することとなる。たとえば,大腸の手術では,腸内に常在する腸内細菌科細菌および嫌気性菌も対象となるためにセフメタゾン(cefmetazole;CMZ)など,嫌気性菌にⅦ.対象とする細菌群と抗菌薬の種類

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