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症候からの鑑別診断4.頻発月経,希発月経の有無)について聴取する。排卵の有無を確認する目的で基礎体温を記録していた場合は,それも確認する。それ以外に,妊娠・分娩歴(子宮内掻爬既往,分娩時大量出血の有無),手術歴(特に卵巣手術の既往の有無),既往歴や現在治療中の疾患,内服薬の有無(特に高プロラクチン血症の原因となりうる精神科,消化器系の薬剤)や体重の増減,精神的ストレス,激しい運動負荷,乳汁分泌などの有無についてできるだけ問診をし,情報を得る必要がある。 診察は,経腟超音波を用いて卵巣の状態(卵胞の有無,PCOSに伴う多数の小卵胞の有無,腫瘍の有無など),子宮の状態(腫瘍性病変の有無,筋層肥厚の有無など)の確認と,子宮内膜厚の測定を行う。子宮内膜にある程度の厚みがみられ,それと同時に卵胞発育が認められれば,ある程度エストロゲン分泌は保持されていると判断できる。産婦人科の実際 Vol.73 No.11 20241125頻発月経? or 希発月経?月経の状態の確認既住歴,合併症の確認理学的所見内診,経腟超音波検査血液,画像診断,細胞診など・いつ頃から?・初経はいつ?・経血量,月経随伴症,出血期間は?・基礎体温は?・妊娠,出産歴は?・既住歴,合併症は?・現在内服している薬は?・体重の増減,激しい運動の有無は?・身長,体重は?・乳房発育,恥毛発育は?・乳汁漏出は?・男性化徴候は?・子宮,卵巣の異常は?・子宮内膜の厚さは?・ホルモン検査,ホルモン負荷試験・妊娠反応検査・子宮頸部細胞診,子宮内膜細胞診・画像検査(MRI,子宮鏡,HSG) 図1  月経周期異常の診察,検査の流れ検査の進め方 内分泌学的検査では,視床下部—下垂体—卵巣のいずれに異常があるのか検討するため,卵胞刺激ホルモン(follicle stimulating hormone;FSH),黄体形成ホルモン(luteinizing hormone;LH),エストラジオール(estradiol;E2),プロラクチン(prolactin;PRL),甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone;TSH)などの血中濃度を測定する。PCOSが疑われる場合は,テストステロンの血中濃度を追加で測定する。採血の時期は卵胞期初期が望ましい。希発月経(や無月経)の場合,しばしばホルモン剤の投与による消退出血後に採血が行われているが,出血の直後,あるいは超音波検査で10 mm以上の卵胞発育を認める場合にはnegative feedbackによるゴナドトロピン抑制が考えられるため,前述したホルモン値の適正な評価のためには採血Ⅰ

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