●文献 1) Randolph JF Jr et al:Change in follicle-stimulating hormone and estradiol across the menopausal transi-1464tion:effect of age at the final menstrual period. J Clin Endocrinol Metab 96:746-754, 2011 2) Bachmann GA, Nevadunsky NS:Diagnosis and treatment of atrophic vaginitis. Am Fam Physician 61:3090-3096, 2000 3) Dennerstein L et al:A prospective population-based study of menopausal symptoms. Obstet Gynecol 96:351-358, 2000 4) Nappi RE, Kokot-Kierepa M:Women’s voices in the menopause:results from an international survey on vaginal atrophy. Maturitas 67:233-238, 2010 5) Willhite LA, O’Connell MB:Urogenital atrophy:prevention and treatment. Pharmacotherapy 21:464-480, 2001 6) Dessole S et al:Efficacy of low-dose intravaginal estriol on urogenital aging in postmenopausal women. Menopause 11:49-56, 2004 7) Bottiglione F et al:Transvaginal estriol administration in postmenopausal women:a double blind compar-ative study of two different doses. Maturitas 22:227-232, 1995 78歳,1妊0産。閉経51歳。夫は84歳で,長期間性交渉がない。脂質異常症でアトルバスタチン5 mgを1日1回夕食後に服用しているが,それ以外に特記すべき既往歴はない。 1カ月ほど前から黄緑色のおりものが気になっていたが,この2週間ほど血液も混じるようになり,心配になって来院した。内診台上で診察すると,外陰部は全体的に萎縮しており,腟前庭には広範囲に発赤がみられる。腟口が狭小化しているため3Sサイズのクスコ式腟鏡を挿入して腟内を観察すると,帯下は緑黄色少量,淡く血液が混入している。腟粘膜は蒼白で乾燥しており,皺を失って平坦である。多数の点状出血斑がみられる。子宮腟部は著明に萎縮しており,表面は平滑で外子宮口は点状でほぼ閉鎖している。経腟超音波検査を行うと子宮体部は4×3 cmと萎縮しており,子宮内膜も線状に薄く描出されるだけである①。萎縮性腟炎に細菌性腟炎を併発した状態と考え,塩化ベンザルコニウム液による洗浄を行い,さらにエストリオール腟坐薬とクロラムフェニコール腟坐薬を挿入した②。② 女性ホルモンが出ない状態になって長く時間が経つと,腟の粘膜が薄くなって出血しやすくなり,また細菌の感染を起こしやすくなります。今日は腟内の洗浄をして,弱い女性ホルモンのお薬と抗菌薬を腟の中に入れましょう(腟内洗浄前に腟分泌物培養を行うことは当然ながら考慮される。また患者の状態に応じて腟洗浄+腟坐薬挿入を連日行うことも可能である)。症例 説明の実際 ① 子宮頸がんや子宮体がんの可能性を考えて診察を行いましたが,その可能性は極めて低そうです(除外診断のために子宮頸部・体部細胞診を行うことは当然ながら考慮されるが,実際には外子宮口が閉鎖しているためにどちらの検査も行えないことも多い。その場合,超音波検査で評価した子宮内膜の厚さが4 mm以下であれば子宮体癌のリスクは1/917と非常に低い10))。患者への説明ポイント
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