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Ⅰ症候からの鑑別診断に陥る前に希発月経の症状を呈することが多いので注意を要する。1124梶原 健T. Kajihara 埼玉医科大学産科婦人科(教授)病態・生理 月経とは約1カ月の間隔で自発的に起こり,限られた日数で自然に止まる子宮内膜からの周期的出血と定義される。正常の月経周期数の日数は25~39日,その変動は±6日以内とされている。月経周期が短縮し24日以内で発来する月経を頻発月経という。一方,月経の頻度が異常に少なく月経周期が39日以上3カ月以内のものを希発月経と定義している1)。なお,国際産婦人科連合(International Federation of Gyne-cology and Obstetrics;FIGO)では24日未満を頻発月経と定義している2)。 頻発月経は,主に ① 無排卵性頻発月経,② 卵胞期短縮型,③ 黄体期短縮型に大別される。また,思春期においては視床下部—下垂体—卵巣系の機能が未熟であることが多いため,無排卵性の頻発月経が認められることが多い。さらには,多囊胞性卵巣症候群(polycystic ovarian syn-drome;PCOS)や周閉経期の無排卵周期でも頻発月経は認められることがある。 一方,希発月経は前述したように月経周期が正常範囲を超えて延長した状態であり,その周期の長さによっては,その病態は続発性無月経とオーバーラップしている。希発月経の原因として最も多いのはPCOSである。精神的なストレス,急激な体重の増減,甲状腺疾患や高プロラクチン血症などの内分泌的異常も希発月経の原因となる。また,卵巣の機能低下によって起こる早発卵巣不全・早発閉経も,続発性無月経診断フローチャート 頻発月経や希発月経などの月経周期異常は,機能性と器質性に大別できる。月経周期異常の原因を明らかにするために,詳細な問診による疾患の絞り込み,その後の診察,検査(図1)により病態を明らかにする必要がある。また,月経が周期的に発来しないと訴える患者のなかには,妊娠に関連する出血を月経と思い込んでいる場合があるので注意する。患者が妊娠の可能性はないと申告した場合でも,例えば異所性妊娠の場合は,不正性器出血があることが多く,その出血を月経と思い込んでいることがある。そのため,その患者が妊娠の可能性はないと申告した場合でも注意深く問診を行い,必要であると判断した場合には,本人の同意を得た後に,妊娠反応検査を行う。また,子宮頸癌,子宮体癌などの悪性腫瘍からの出血を月経と誤認している場合もありうる。上記悪性腫瘍が疑われた場合には,子宮頸部や子宮内膜の細胞診・組織診を行う。問診・診察 問診では,初経年齢,以前の月経の状態,いつから月経異常が始まったのか,最近数周期の月経の状態(周期,経血量,持続期間,随伴症状頻発月経,希発月経4

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