040252018030-2018050T
5/22

307いう意味である。 館内には,水を使用できる広大な砂場をはじめ,30 mを一直線に走れるトラックや10万個のボールプール,大型トランポリンやブランコ,そして子どもがシェフに扮して調理できるキッチン,各種セミナーや相談会を行えるスペースなどを完備した(図3)。オープンから6年が過ぎたが,これまで190万人の来場者を数えた。一地方都市にある子どもだけをターゲットにした施設にもかかわらず,これだけの人が集まったことは,この施設が子どもにとって楽しい遊び場で,利用者のニーズを満たしていることを証明しているといえよう。 福島県内では,PEP Kids Koriyamaの成功後に各地に大小様々な屋内遊び場が林立した。しかし,時間の経過とともに来場者が徐々に減少している施設も多く,その運営と施設のあり方が課題となっている。PEP Kids Koriyamaが持つ最大の特徴は,子どもと一緒に遊び,子どもの遊びをより楽しくしてリードしてくれるプレイリーダーと呼ばれる若者が常駐していることである。プレイリーダーはただ単に子どもの遊び相手をするのではなく,年齢や発達段階を考慮して,個々の子どもに適した遊びを提供し,また遊びに夢中にのめり込むきっかけ作りに気を遣っている。施設の遊具を目的に遊びに来るだけではなく,プレイリーダーと遊ぶことを目的にしている子どももいる。 震災後,多くの困難が立ちはだかっていたが,そのときにできることを多くの人の協力を仰いで実施してきたつもりである。プロジェクトの活動を通して,震災前から存在していた日本の子どもを取り巻く問題が可視化できるようになり,新たに誕生した遊び場がこれからの日本の遊び環境の1つの理想像を示すことができたことを考えると,このプロジェクトが残した功績は大きいと思う。震災からの復興は,新しいより良い社会の樹立であり,私たちに与えられた教訓を決して無駄にしてはならない。(つづく)ロールプレイゾーンボールプールアクティブゾーン休憩スペースセミナー室サーキットアスレチック&ランニングコースベビーゾーン食育コーナー屋内砂場ベビールーム 図3 PEP Kids Koriyamaパース図産婦人科の実際 Vol.67 No.3 2018

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る