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567に対処が行われ,必要な際には関係機関との連携が図られてきた。しかし,実際には医療機関を受診せずにいたり,受診できない,あるいはそこまでの必要性がないと判断されたりする場合も多い。個々のケースが複雑化し,教育保育現場でのマンパワー不足などもあり,今後は医療や福祉サイドが積極的に教育保育現場に出向いて様々な課題解決に向けた支援をより早期から提供することが必要であろう。4.震災の経験と教訓を無駄にしない社会創り 同じ福島県内でも状況はかなり複雑になっている。太平洋側の浜通り地方は,津波と地震,原子力発電所事故の影響を強く受け,中央の中通り地方は地震と放射線汚染の影響があり,一方西の会津地方は比較的被害が少なかった。このように,地震や津波の被害の有無,放射線汚染による避難を強いられたか否かだけでなく,さらに電力会社からの賠償を受けたか否か,家庭の子どもの年齢,祖父母世代との関係,家族の経済的状況,両親の放射線などに対する理解度など,多くの要素が被災した人々の震災後の進路を変えさせた。 また,肥満の問題に関しては,家庭や学校,保育現場での危機感と関心度の差があり,外遊びに対しては積極的であった保育関係者や保護者がいた一方で,外出をためらい長期にわたってほとんど屋内のみの生活をしていた家庭や保育施設もあった。さらには地元産の農作物を食べるか否かの是非が今も問われていたり,避難から帰還した人々が疎外感を感じていたり,県外ではいまだに根強く福島全体が放射線汚染により住む環境ではないというイメージもあり,誤った風評や避難した子どもへのいじめの問題もある。このように震災を契機に起きた様々な問題が複雑に存在し,解決するどころかさらに深刻化させている。 被災した人々が復興するために一番大事なことは,新しい環境のもとで一日も早く新しい日常(new normal)を創り順応することである。7年が経ち,すっかり新しい日常に順応できている地域や人と,今も何かを引きずっている地域や人との二極化がはっきりとしてきているのではないかと感じる。そして,世の中の関心は 図3 子どもの遊びの必要条件(3つの間)産婦人科の実際 Vol.67 No.5 2018

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