425神専門家が危惧していることは,最近の発達障害への関心の高まりにのってか,教育や保育の現場で少しでもおかしいと思われる子どもが安易に発達障害の疑いをかけられることである。震災によって子どもやその保護者の心は大きく揺さぶられ,大混乱のなかの不安定な状況で子育てせざるをえなかった家庭も多く,保護者との愛着形成が十分に育まれずに育った子どもが発達性トラウマ障害(反応性愛着障害)をきたし,発達障害様の症状を呈していることもある。発達性トラウマ障害と発達障害との鑑別は難しく,児童精神科医の受診まで1年も待つ場合もあり,しっかりとした鑑別のないままレッテルを貼ることは避けなければならない。 遊び場の設置と同時に始めた臨床心理士による遊び場内での巡回子育て相談内容の変化をみてみると,震災直後は震災や放射線関連に関する相談が多かったが,時間の経過とともに子育ての悩みや発達に関する相談が増えてきた(表4)。徐々に震災の直接的影響が薄れ,震災前から抱えていた問題点が改めて浮き彫りになってきていることがうかがえる。今後もさらに子どもの生活習慣と肥満や体力運動能力との関連,心のストレス,将来的に生じうる影響などを,より詳細に検討し続けることは非常に重要な点だと考える。(つづく)表4相談内容産婦人科の実際 Vol.67 No.4 20182015年度しつけや子育て方法発達障害に関して子育て相談内容の推移2011年度1位放射線下での子育て不安2位家族(夫婦)間の考え方のズレ避難者と非避難者との軋轢3位保養※に対する考え
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