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てられないなかで震災が発生し,この傾向は悪化の一途をたどった。肥満度と上記の体力・運動能力の関係を見てみると,肥満度が悪化するほど体力・運動能力の低下が認められた(図5)。特に肥満度が50%を越える高度肥満では体力・運動能力の差が大きく,学校の授業などで一律の運動メニューを実施する際には注意が必要である。一般的には,肥満の子ほど運動実施が苦手であり,動かない生活習慣がさらに肥満を悪化されるという悪循環をきたす。したがって,肥満が高度になる前に早期発見・早期介入が重要であるが,なかなか容易に医療側からのアプローチは成功しない。郡山市内の小中学校での肥満児への対応を聞き取りしたところ,学校医の対応がバラバラ,保護者の協力を得にくいなどの意見が多くの学校から寄せられた。学校医が児童生徒の診察を行い,精査加療が必要な子どもを医療機関へ受診するよう勧奨を行っているが,肥満を指摘された児童生徒が実際に医療機関を受診するのはわずか数パーセントに過ぎなかった。一方,学校医の肥満に対する認識も千差万別で,高度肥満でもいずれ治ると放置されている例もあった。筆者は福島県の教育委員会に働きかけ,学校現場での肥満児への取り扱男児ボール投げ立ち幅とび50m走女児ボール投げ立ち幅とび50m走4226050403020105040302010握力20mシャトルラン握力6020mシャトルラン上体起こし長座体前屈反復横とび上体起こし長座体前屈反復横とび非肥満20%以上30%以上50%以上全国 図5 小学校5年生における肥満度による体力・運動能力の差全国平均=50

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