て確立されつつある。全身性免疫抑制療法 DMARDsは合成DMARDs(conventional synthetic DMARDs:csDMARDs)と生物学的DMARDs(biologic DMARDs:bDMARDs)に大別される。csDMARDsにはメトトレキサート(MTX),シクロスポリン(CsA),ミコフェノール酸モフェチルなどが含まれ,bDMARDsにはアダリムマブ,インフリキシマブをはじめとするTNF阻害薬などが含まれる。特に,若年性特発性関節炎(juvenile idiopathic arthritis:JIA)関連ぶどう膜炎の第一選択薬としてはMTXが推奨されている。一方,本邦においては,非感染性ぶどう膜炎に対してCsA,JIAに対してMTXが承認されている。 具体的な適応症例を以下に示す。(1)ステロイド点眼療法を3か月行ってもSUN Working Groupが提唱する前房炎症細胞数のグレードで1+以上を認める症例,(2)ステロイド点眼回数を減らす(1日3回以下)と再燃をきたす症例,(3)ステロイド点眼療法開始後,白内障の進行・眼圧上昇が持続する症例,(4)ステロイド点眼療法を開始しても前房内フレアの改善がみられず,虹彩後癒着・帯状角膜変性の進行がみられる症例,(5)GC全身投与の離脱が困難な症例,(6)GCによる眼・全身副作用で投与継続が困難な症例。このような場合には,まずcsDMARDsの適応が検討される。 csDMARDsとステロイド点眼の併用により眼内炎症が制御されている症例では,ステロイド点眼の長期・頻回使用に伴う合併症リスクを考慮し,DMARDsよりも先にステロイド点眼の漸減を行うこ3図1 両眼の若年性慢性虹彩毛様体炎(JCI)に伴う眼合併症(初診時)14歳女性。5歳時にぶどう膜炎と診断され,前医で長期ステロイド点眼および増悪時のみグルココルチコイド内服により加療されていたが,炎症が持続するため14歳時に紹介となった。初診時,帯状角膜変性,白内障(左眼は白内障術後),虹彩後癒着がみられた。メトトレキサートおよびアダリムマブ導入により現在は沈静化に至っている。Vol.67 No.10 20251031
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