児科での脳波や頭部画像検査を経て除外診断を行うのが適切である。小児科から依頼されるケース2 先天性疾患,染色体異常,未熟児出生などで全身管理が必要な児では,眼科的な定期フォローが必要である。屈折異常や眼位異常を合併することも多く,眼器質疾患の有無を確認するとともに,機能的な異常を伴っていないかを確認する。精神発達の遅れを伴う場合には検査や診察が難しいこともあるが,本人の持つ視機能をどのように活用できるかという視点での評価と支援が求められる。視覚は全身の発達と密接に関係しており,小児科と連携しながら,個々の児に応じた視覚的ケアを継続することが望ましい。保健所との連携3歳児健診における屈折検査の導入1 2022年に3歳児健診での屈折検査機器導入に対して国から自治体への補助金制度が開始され,全国の自治体の80%以上で屈折検査機器によるスクリーニングが行われるようになった。林・仁科らの報告2)にもある通り,小児眼科医がその重要性を訴え続けたことで,全国的な導入が急速に進んだことは高く評価されるべき成果である。筆者の施設でもこれまで見逃されていたであろう不同視弱視や屈折異常弱視がスクリーニングを契機に発見されるケースが明らかに増加しており,その有用性を実感している(図1)。3歳以降で視力不良またはスクリーニングで異常値を示した児に対しては,調節麻痺下での精密屈折検査を行い,必要に応じて眼鏡を処方する。Spot™ Vision Screenerの活用と注意点2 代表的なスクリーニング機器として,Spot™ Vision Screener(SVS)が挙げられる。異常値の扱いについては「小児科医向けSVS運用マニュアル」に詳しく記載されており3),眼科医もその内容を十分理解しておく必要がある(図2)。 SVSにおける屈折異常の判定は,2歳以下では偽陽性が多いため,3歳(特に3歳6か月)以降の再検査が推奨されている。一方で,斜視判定は年齢を問わず有用であり,眼位異常のなかに眼器質疾患が潜んでいる可能性があることから,注意深く評価する。ただし,SVSで眼位異常と判定された場合でも,医師や視能訓練士による検査で正位と診断されることもあり,スクリーニング結果だけに依存せず,臨床所見をもとに総合的に判断する必要がある。SVSでスクリーニング不能な場合には眼器質疾患の可能性が考えられるため,必ず散瞳下での眼底検査を行う。地域眼科との連携地域眼科からの紹介1 眼科の診療現場では65歳以上の高齢者が多くを占め,小児の診療に十分な時間や環境を確保するの23図1 3歳児健診の精密健康診査受診表3歳児健診で視力不良や斜視の疑い,スクリーニング判定異常などが指摘された場合に出される精密検査勧告である。屈折検査機器が導入された自治体からは,スクリーニング結果も記載されている。Vol.67 No.10 20251125
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