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表 1 NMOSD の診断基準(myelin basic protein:MBP)は MS や MOGAD② NMOSD における視神経炎の治療Vol.67 No.10 2025※  1. 腫瘍,2. 梅毒,3. 脳血管障害,4. 頸椎症性ミエロパチー,5. 急性散在性脳脊髄炎(ADEM),6. 脊髄空洞症,7. 脊髄小脳変性症,8.HTLV-1 関連脊髄症(HAM),9. 膠原病(全身性エリテマトーデス,Sjögren 症候群など),10. 神経Behçet,11. 神経サルコイドーシス,12. ミトコンドリア脳筋症,13. 進行性多巣性白質脳症 (難病情報センターホームページ〈https://www.nanbyou.or.jp/entry/3807〉より作成)* AQP4 抗体陰性・未測定の NMOSD の MRI 追加必要条件A)AQP4 抗体陽性 NMOSD の診断基準(a,b,c のすべてを満たす)a. 主要臨床症候(①~⑥)のうち 1 つ以上の症候がみられるb. AQP4 抗体の検査結果が陽性c. 他の疾患(※)を除外できる主要臨床症候①視神経炎(ON)②急性脊髄炎③最後野症候群(APS):他で説明のつかないしゃっくりまたは嘔気および嘔吐の発作④急性脳幹症候群⑤症候性ナルコレプシー,または NMOSD に典型的な間脳の MRI 病変を伴う急性間脳症候群⑥ NMOSD に典型的な脳の MRI 病変を伴う症候性大脳症候群B)AQP4 抗体陰性・未測定の NMOSD の診断基準(a,b,c のすべてを満たす)a. 主要臨床症候(①~⑥)のうち 2 つ以上の症候がみられる (ア)主要臨床症候の 1 つ以上は ON,縦長横断性脊髄炎(LETM)を伴う急性脊髄炎,または APS であること (イ)空間的多発性が証明されること(主要臨床症候が 2 種類以上あること) (ウ)各主要臨床症候が MRI 追加必要条件(*)を適宜満たすことb. 実施可能な最良の手法を用いた AQP4 抗体検査結果が陰性であるか,抗 AQP4 抗体検査を実施不可能c. 他の疾患(※)を除外できる① 急性 ON:(a)脳 MRI の所見が正常であるか非特異的白質病変のみを認める,または(b)視神経 MRI のT2 強調画像で高信号となるか,T1 強調ガドリニウム造影画像で造影される病変が,視神経長の 1/2 を超えるか視交叉に及ぶ②急性脊髄炎:3 椎体以上連続の髄内病変(LETM)または 3 椎体以上連続の脊髄萎縮の MRI 所見③ APS:延髄背側/最後野の病変を伴う④急性脳幹症候群:脳幹の上衣周囲に病変を認める的な経過を有する患者の約 80% で陽性となる。また,20% の症例で Sjögren 症候群,全身性エリテマトーデス,慢性甲状腺炎などの自己免疫性疾患を合併するとされる。急性期の髄液検査で多核球優位の細胞数増多がみられ,ミエリン塩基性蛋白と同様に上昇する。MS でみられるオリゴクローナルバンドは陰性を示す 1)。ため,血液浄化療法ができる施設での治療を行うことが望ましい。第一選択としてステロイドパルス療法(methylprednisolone:mPSL 30 mg/kg/日急性期 :治療に抵抗性を示し予後不良な例が多いを 3 日間)が選択されるが,ステロイドに抵抗性を示すことがあり,抗 AQP4 陽性または前述のようなNMOSD の特徴を有する場合,効果が不十分であれば,躊躇せず迅速に血漿交換に踏みきるべきである。単純血漿交換療法は,1 日おきに最大 7 回まで行うことができる。1 回につき循環血漿量(40 ~ 50 mL/kg)を交換する。免疫吸着療法(immunoadsorption plasmapheresis:IAPP)や二重膜濾過法(double filtration plasmapheresis:DFPP)にも有効性を示す報告がある。血漿交換が無効か,あるいは行えない場合は免疫グロブリン大量静注療法(intravenous immunoglobulin:IVIg)400 mg/kg/ 日を 5 日間が行われる。1095

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