1CSCの一次的原因は脈絡膜にある。脈絡膜は組織学的に網膜側からBruch膜,脈絡毛細血管板,血管層,脈絡上板から構成されており,血管層はさらに中小血管が主体となるSattler層と大血管が主体となるHaller層に分けられる。このHaller層の血管拡張を伴う脈絡膜肥厚は2013年にFreundらによってパキコロイド(pachychoroid,[pachy]は「厚い」という意味の接頭語)と命名され2),パキピテートに一致した高反射点(矢印)が網膜外層内,剥離網膜後面,網膜色素上皮上にある。Ⅳ 網膜硝子体BAC図1 プレシピテートを伴う中心性漿液性脈絡網膜症A : カラー眼底写真。中心窩に漿液性網膜剥離と点状黄色プレシピテートがある。B : 眼底自発蛍光。プレシピテートは過蛍光点として観察される。C : OCT水平スキャン。脈絡膜大血管の拡張と視細胞外節の延長(矢頭)を伴う漿液性網膜剥離がある。プレシ病 態コロイドに起因する疾患はパキコロイド疾患と呼ばれるようになった。CSCは代表的なパキコロイド疾患であり,脈絡膜血管透過性亢進によりRPEの外側血液網膜関門(バリア機能)の破綻が起こり,網膜下腔に漿液が漏出してSRDが形成される(図2)。RPEには漿液を網膜側から脈絡膜側へ排出するポンプ機能もあり,RPEのポンプ機能を上回る漿液の漏出が持続するとSRDが遷延する(図3)。CSCが慢性化してRPE萎縮が起こるとRPE機能が低下し,脈絡膜血管からの漏出の程度が弱くても1268
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