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図3 結膜弛緩症に対する切除法の手術前(上),手術後(下)切除法〔3分割切除法(横井法)〕では,外眼角から涙点までの涙液メニスカスの完全再建と結膜弛緩を意味する結膜の皺襞の消失が,術後にほぼすべての例で得られる。MGD,CChに対する非手術的治療で症状が改善しない場合に,CChの手術治療を考える。DEは,フルオレセインbreakup pattern6)を観察して,ジクアホソルナトリウム点眼液(DQS)またはレバミピド点眼液(Rbm)と0.1%フルオロメトロン点眼液(FL)の組み合わせで,改善が得られるか否かを確認する。異物感/眼痛,再発性結膜下出血を訴える例では,RbmとFLを併用してみるとよい。MGDは,温罨法,マイバムの圧出など,セルフケアを含めて治療する。非手術的治療で改善が得られる場合は手術を要しない。CChの本態は,結膜下組織の異常(膠原線維の減少,弾性線維の断裂/変性,リンパ管拡張の組み合わせ1))に基づく,結膜の強膜からの剥離であるため,手術治療においては,異常な結膜下組織を取り除いて,弛緩結膜が残らないように結膜切除を行い,術後炎症による結膜と強膜の癒着を図ることを基本とする7)8)。手術治療の目標は,外眼角から涙点までの涙液メニスカスの完全再建と結膜表面の起伏の完全消失である(図3)。浸潤麻酔を結膜下に施すと結膜の剥離範囲が確認でき,上方のCChを合併する場合は,それも治さないと異物感/眼痛が解消しない場合があるため注意を要する(図4)。また,流涙症状に対しては,涙点の外側で半月ひだや涙丘が涙液メニスカスの涙液の流れを遮断していれば,その手術治療も必要となる(図4)9)。CCh自体が,涙液層の破壊を増強する(特にSpot breakやLine break)要因になるため,CChにDEが合併することは多く,CChの手術治療でDEが改善することもある。流涙症状は,涙液層の破壊→反射性涙液分泌→CChによるメニスカスにおける涙液の流れの遮断→流涙症状の増強という病態から説明できる場合もあり,DQSやRbmを用いたDE治療が奏効する場合もある。上方のCChは,下方と異なり,バリエーションが少ないため,手術治療の際には,弛緩結膜を剪刀で挟むだけの操作で余剰分を切除し,必要に応じてTenon嚢を引き出して切除し,結膜同士を縫合するだけでよい7)。1131

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