4治 療病巣搔爬による物理的なアメーバの除去が最も図4完成期中央部に円板状の角膜混濁がみられる。とがあり注意が必要である。3)完成期(図4)移行期にみられたリング状の混濁の中央部も混濁して境界明瞭な円板状混濁となる。AKに特徴的な所見として円板状混濁が強いわりには輪部付近の角膜は比較的透明である。前房内炎症が強くなると前房蓄膿をきたすこともある。 3 アメーバ検出アメーバは以下の方法で検出するが,アメーバの検出率は直接検鏡で30〜75%,分離培養で50〜67%,PCRで感度80%以上(特異度100%)と報告されている13)〜15)。直接検鏡,分離培養が陰性でもPCRで陽性のことがあるので注意が必要である。1)共焦点顕微鏡レーザー共焦点顕微鏡を用いて非侵襲的に検出する方法であるが,アメーバの判別が難しいため臨床所見とあわせて診断する必要がある。2)直接検鏡角膜擦過物やCL保存液を直接検鏡する。無染色で観察することも可能ではあるが,染色して観察するほうが容易である。代表的な染色方法はパーカーインクKOH染色,グラム染色,パパニコロウ染色,ギムザ染色,ファンギフローラY染色16)などが挙げられる。筆者らは初回にアメーバを検出できなかったCL保存液を1週間程度常温保存することで,再検鏡時にアメーバ検出に至った経験をした。確定的とは言えないものの培養やPCRのない施設ではCL保存液を数回にわけて検鏡することも有用であろう。3)培養角膜擦過物を分離培養する。培地には納豆菌を塗布した無栄養アメーバ寒天培地が用いられることが多い。培地上には3〜4日でトロホゾイト,6〜7日でシストがみられる。4)PCR法角膜擦過物の検体量が少ないと直接検鏡や分離培養でアメーバを同定できない場合があるが,PCR法で遺伝子を増幅させることにより高感度にアメーバのDNAを検出することが可能である15)。またreal-time PCR法では定量的な評価や治療効果の判定も可能となった17)。5)蛍光免疫クロマトグラフィ法30分で判定できるAKの迅速診断法として蛍光免疫クロマトグラフィ法を用いたアカントアメーバ抗原検出キットが開発された18)。標識粒子に通常の金コロイドやラテックス粒子ではなく蛍光シリカナノ粒子を用いることで,in vitroでの検出限界が栄養体は5個/sample,シストは40個/sampleとなり,従来の免疫クロマトグラフィ法より20倍感度が上昇している。また実際にAKが疑われた10症例での検査では培養・検鏡陰性例やreal-time PCRで検出されたDNA copy数が少ない症例でも検出可能であったとされている。今のところ商品化までには至っていないが,迅速かつ高感度にアメーバ検出が可能であり,実用化されればAK診断に大きく貢献すると思われるため注目される。1057
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