図3移行期散在していた混濁は徐々に中央部へ移動しはじめる。図2初期強い充血および角膜には放射状の混濁と斑状の混濁がみられる。2病 態石橋らの分類で初期,移行期,完成期にわけられる12)。アメーバは角膜に侵入するとまず角膜上皮内でトロホゾイトの状態で増殖し,炎症反応が生じるとシスト化して逃れるが,炎症が静まると再びトロホゾイトとなり増殖する(初期)。これらを繰り返し徐々にアメーバ数が増加し,炎症反応が強くなると,アメーバは炎症反応から逃れるため中央に移動しはじめ,リング状の混濁が免疫反応として生じる(移行期)。アメーバが角膜内に定着し本格的な炎症が起こると角膜中央部に円板状の混濁がみられるようになる(完成期)。3診 断下記のような特徴的な臨床経過と臨床所見がみられた場合,まずAKを疑うことが重要となる。10562週間頻回交換型ソフトCLが最も多いとされ,アメーバを死滅させるまでには至らないmulti-purpose solution(MPS)によるCL管理が危険因子といわれている11)。同時に病巣部やCLの保存液からアメーバを検出し確定診断とする。 1 臨床経過CLや外傷の既往がある,一般的な治療に抵抗性の角膜感染症である,改善しにくいため転医を繰り返す,炎症が強いためステロイド点眼が投与されている,ヘルペスと誤診され治療されているなどの経過を示す症例が多い。 2 臨床所見1)初期(図2)角膜病変のわりに強い輪部結膜の充血,浮腫がみられる。角膜上皮下に多発する斑状,線状,点状の浸潤や混濁,偽樹枝状の上皮障害,放射状角膜神経炎がみられる。特に角膜輪部から中央に向かう角膜実質の神経に沿って細胞浸潤を認める放射状角膜神経炎は,AKの初期所見に特徴的で移行期や完成期には消失する。2)移行期(図3)炎症反応から逃れるため角膜輪部から中央部へ集まってきたアメーバに対する免疫反応を含めた炎症により角膜実質にリング状の角膜浸潤や混濁がみられる。AKに特徴的で重要な所見であるが,これがみられる期間が短いため見逃してしまうこ
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