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図2Candida角膜炎の症例(進行例)類円形の膿瘍を呈する。前房蓄膿を伴い,病巣部以外の浸潤も強い。本症例では病巣部よりC. albicansが検出された。角膜移植後の症例。1048図1角膜感染症の治療フローチャート新患で角膜感染症の症例が来院された場合の対応についてフローチャートに一例を示す。(細隙灯顕微鏡検査, 前眼部写真, 前眼部OCT, 共焦点顕微鏡検査など)原因菌を想定し, 局所・全身の薬物治療, 外科的治療について治療方針の決定(患者背景, 発症機序, 治療経過)角膜所見の把握検体採取 擦過時の感触, 塗抹検鏡, 培養検査 ウイルス感染を疑えばマイクロトラックや前房水PCRなど (可能なら)網羅的PCR各種データベースと照合 ストックされた自験例や各種文献に掲載されている症例検査結果や治療経過を参考に治療方針の再考問 診り,緊急で治療的角膜移植を行い,感染は鎮静化された。本症例は前眼部OCTが治療方針の決定に有用なことを示唆する症例であった。また,病原体の推察には共焦点顕微鏡での観察(図4)が簡便で有用である。本症例では角膜実質内に菌糸様構造を認め,初診時からCandida角膜炎として治療を開始できた。共焦点顕微鏡を用いると酵母形,仮性菌糸のいずれの形態でも観察可能である6)ので初診時に是非,本検査を行うことを勧める。ただし,Candida角膜炎の全例で病原体を観らの前眼部写真の記録をデータべースにストックしていくことは,将来自院に来られる次の患者の診断にも必ず有用となる。Candida角膜炎は典型的には比較的境界明瞭な円形・類円形の角膜潰瘍(図2)を示す。角膜深部への病巣の深達度については前眼部OCTでの観察(図3)が有用である。本症例は細隙灯顕微鏡による観察では膿瘍が濃いため角膜深部の評価が困難であったが,前眼部OCTを用いた観察により膿瘍が拡大してデスメ膜が前房側に突出し,穿破寸前であることがわか

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