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漏れ電流は0.1mA以下と定められているので,

機器の故障時にも機器からの漏れ電流を低く抑え

られる。しかし,これはマクロショック防止に役

立つが,ミクロショック防止対策にはならない。

非接地式電路の

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次側には,絶縁監視装置(ア

イソレーションモニタ)を設備して,不良機器が

つながれることを監視・警報しなければならない。

これには,電路の片側ずつと,大地との間の絶縁

抵抗を交互に測定して,これが規定値を下回った

ら警報を発する方式(対地インピーダンス計測方

式)が使われ,対地インピーダンスが50kΩ以下

となるような状態(片側接地配線方式で地絡電流

が2mA以上流れるような状態)となったときに

警報を発する。

非常電源

手術室や

ICU

CCU

では,患者の生命を機械で

支えている部分があるが,これら生命維持装置は

一時停止することは許されない。そのため,停電

時には電源供給を確保する手段として非常電源が

必要である。

非常電源は停電時に自動的に負荷に電源供給を

行う自家用発電装置を備えているが,これには10

時間以上連続運転できるだけの燃料の備蓄が必要

である。非常電源は電圧確立時間によって,一般

非常電源,特別非常電源,無停電非常電源の

3

類に分類されている(表15)。

無停電非常電源の無停電電源装置(UPS)の蓄

電池設備は充電を行うことなく,10分間継続して

負荷に電力を供給できるものとなっている。カテ

ゴリーAに分類される手術室,

ICU

CCU

PICU

NICU

ならびに心臓カテーテル室などには設けな

くてはならない。

医用コンセントの外郭表面の色は,一般と特別

が赤,無停電が緑である。

医用室の電源回路

医用室の電源回路には,次のような要求事項が

ある。

①高速高感度形漏電遮断器を敷設すること(漏

電警報器でもよいなどの例外がある)。

②電源の遮断が医療に重大な支障をきたす恐

れのある医用電気機器の分岐回路には,電流

監視装置を設けること。

③医用コンセントの数は必要かつ十分な量に

すること。

④医用室の電気回路の配電盤および分電盤に

医用室名などの表示をつけること。

4

電気的安全性の測定

ME

機器の電気的安全性を確保するための保守

点検は,

JIST0601

-

1

に準じた方法で行うことが

必要である。これらの試験項目は製造メーカの出

荷試験の一部をなすものであるが,これらの中に

は,使用者側でも実施することが望ましい項目も

ある。使用者側では,以下の電気的安全性試験項

目を実施することが望ましい。

①接地漏れ電流

②接触電流

③患者漏れ電流(装着部および

SIP

SOP

に外

部電圧を印可した患者漏れ電流は,測定に危

険が伴うので,専門家に依頼すること)

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第2編

専門科目

10時間以上

(燃料の備蓄)

40秒以内

一般非常電源

(自家用発電装置)

連続運転時間

電圧確立時間

種類

表15

非常電源の種類

10時間以上

(蓄電池+燃料の備蓄)

無停電

無停電非常電源

(UPS+自家用発電装置)

10時間以上

(燃料の備蓄)

10秒以内

特別非常電源

(自家用発電装置)