116 4臨床検査総論
答 問103:4,問104:5,問105:5
問 103★★
【Ⅰ─①─4─F】(ID 2011001)
血液が入った採血管を床に落として破損した。
床の消毒に適するのはどれか。
1.ポビドンヨード
2.グルタルアルデヒド
3.塩化ベンザルコニウム
4.次亜塩素酸ナトリウム
5.グルコン酸クロルヘキシジン
作問のねらい 消毒法と滅菌法の原理を理解す
る。採血時の皮膚消毒に用いるエタノール,乾熱滅
菌の条件,オートクレーブの滅菌条件なども理解す
る。
〔注解〕 血液をこぼした場合は速やかに拭き取り,
その後で適切な消毒法を行わなければならない。
1.ポビドンヨードは皮膚の消毒に用いる。環境
の消毒には使用しない。
2.グルタルアルデヒドはウイルスには有効であ
るが,揮発性があり,刺激臭を伴うため環境の消毒
には使用しない。
3.塩化ベンザルコニウムは細菌には有効である
が,肝炎ウイルスなどには効果がない。
4.次亜塩素酸ナトリウムはウイルスにも細菌に
も効果がある。
5.グルコン酸クロルヘキシジンは細菌には有効
であるが,肝炎ウイルスなどには効果がない。
問 104★★
【Ⅰ─①─4─F】(ID 2012101)
針刺しによる血液曝露を受けた医療従事者
(HBs抗体陽性,HCV抗体陰性)への対応で正
しいのはどれか。
1.HBs抗原陽性患者の場合はHBワクチンを
接種する。
2.HCV抗体陽性患者の場合は抗ウイルス薬を
服用させる。
3.HBs抗原陽性患者の場合は免疫グロブリン
製剤を投与する。
4.HCV抗体陽性患者の場合は免疫グロブリン
製剤を投与する。
5.患者のHBV,HCV及びHIV関連の検査が
すべて陰性の場合は経過観察とする。
作問のねらい 針刺し事故による血液曝露を受け
た場合,血液を介してのウイルス感染の危険があ
る。ウイルスにはB型肝炎ウイルス,C型肝炎ウイ
ルス,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)があり,それ
ぞれの感染率は30%,3%,0.3%といわれている。
B型肝炎ウイルスに対するワクチン接種や免疫グロ
ブリン製剤投与の有効利用を理解することが重要で
ある。
〔注解〕 針刺し事故への対応は患者がウイルス保有
者か,受傷者が抗体保有者か否かで異なる。
1.患者がHBs抗原陽性で,受傷者がHBs抗体陽
性の場合は,発症の危険は少ないため経過観察とな
る。
2.患者がHCV抗体陽性で,受傷者がHCV抗体
陰性の場合は,追跡調査を行い,急性肝炎を発症し
た場合にはインターフェロン投与で治療する。
3.患者がHBs抗原陽性で,受傷者がHBs抗体陽
性の場合は,発症の危険は少ないため経過観察とな
る。
4.患者がHCV抗体陽性で,受傷者がHCV抗体
陰性の場合は,追跡調査を行い,急性肝炎を発症し
た場合にはインターフェロン投与で治療する。
5.患者のHBV,HCVおよびHIVがすべて陰性
の場合は,感染の確率が低いため経過観察となる。
問 105★★★
【Ⅰ─①─4─H】(ID 2013058)
特定化学物質に分類されるのはどれか。
1.アセトン
2.キシレン
3.メタノール
4.エタノール
5.ホルムアルデヒド
作問のねらい ホルムアルデヒド(ホルマリン)
は「特定化学物質障害予防規則」と「毒物・劇物取締
法」によって規制を受けていることを理解すること
が大切である。
〔注解〕 特定化学物質は,労働安全衛生法,施行令
で定められた化学物質である。労働者が化学物質に
よる健康障害を受けることを防止する目的で制定さ
れた。特定化学物質は第1類,第2類,第3類に区
分される。
5.ホルムアルデヒドは癌等の慢性・遅発性障害
を引き起こす物質として,第3類物質から第2類物
質に変更され,労働者の衛生管理が厳しくなった。
ホルムアルデヒドは,病理検査には不可欠な物質で
あり,厳重な保管,定期的な作業環境測定と作業従
事者の定期的健康管理が義務付けられている。
問 106★
【Ⅰ─①─4─H】(ID 2013101)
黄色のバイオハザードマークが貼付されてい
る容器に廃棄するのはどれか。
1.胸水が入った試験管
2.血液が入った採血管
3.血液が付着したガーゼ