No. 8
多肢選択問題のタイプと解答・正答の考え方
現在,臨床検査技師国家試験で用いられている多肢選択問題には,AタイプとXタイプがある。
1.Aタイプ
・単純択一形式(one─best─response)のMCQ。
・5つの選択肢のうちから1つの正解肢を選ぶ形式。
・正解は「唯一」であるが,
「唯一絶対」ということばかりでなく,
「相対的に正しい」ことでもよい。
2.Xタイプ
・多真偽形式(multiple─true─faise)のMCQ。
・5つの選択肢から2つまたは3つの正解肢を選ぶ形式で,前者をX2,後者をX3という。
・正解肢は100%正答であり,残りの選択肢は100%近く誤答である。
このように,Aタイプは選択肢のなかで最も正しい(あるいは誤っている)選択肢を選ぶが,Xタ
イプは正しい(あるいは誤っている)選択肢を選ぶ。
また,選択肢から2つもしくは3つを組み合せた解答コードのうちから1つを選ぶ形式をKタイ
プという。従来の国家試験では,この形式が用いられていた。
例題 1
抗核抗体が陽性となるのはどれか。
1.SLE
2.肝硬変
3.心筋梗塞
4.関節リウマチ
5.ネフローゼ症候群
例題 2
アルブミンよりも分子量が小さいのはどれ
か。2つ選べ。
1.ハプトグロビン
2.セルロプラスミン
3.トランスフェリン
4.トランスサイレチン
5.
β
2
─ミクログロブリン
〔解説〕
アルブミンの分子量は約66kDaである。1.ハプトグロビンは約85kDa,2.セルロプラス
ミンは約160kDa,3.トランスフェリンは約77kDa,4.トランスサイレチンは約55kDa,そして5.
β
2
─ミクログロブリンは11.8kDaであり,分子量がアルブミンより小さいのは,4.トランスサイレチ
ンと5.β
2
─ミクログロブリンである。
答4,5
〔解説〕
抗核抗体は自己抗体の1つであり,自己免疫疾患で陽性となる。SLEでは95%以上陽性とな
るが,選択肢の関節リウマチでも40%前後,肝硬変では30%前後,あるいは健常人でも10%前後陽
性となる。したがって,2.肝硬変,4.関節リウマチも抗核抗体は陽性となるが,抗核抗体が陽性と
なる最も高率な選択肢は1.SLEとなる。
答1