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3促通手技図1 促通刺激が弱い場合,ニューロンAの刺激により,②のニューロンが発射する。同様にニューロンBの刺激により,⑤のニューロンが発射する。このとき,ニューロンA,Bの入力を受ける① ③ ④ ⑥のニューロンは閾下縁に置かれる。しかし,ニューロンA,Bを同時に刺激すると,閾下縁の重なった部分のニューロン③ ④が閾値に達して発射が起こる。(川口三郎:神経系の機能/概説 総論.標準生理学第5版(本郷利憲,廣重力 監,豊田順一,熊田衛,小沢瀞司,他 編),p168-9,医学書院,2000.より)AB123465:ニューロンプール:閾下縁3 促通手技47生理学における促通とは,2つの求心神経から1つのニューロンプールへ刺激を与えるとき,2つの求心神経のそれぞれの刺激効果の和より,同時刺激による効果の方が大きくなることをいう(図1) 1)。リハビリテーションやスポーツの分野における促通とは,運動を実現するために標的筋を支配する運動ニューロン自体の興奮性を高める介入と捉えることができる。脳卒中患者のリハビリテーションに焦点をあてると,促通の目的と手技は麻痺の状態によって異なる。麻痺肢の随意運動が生じない患者では,運動を実現させることが目的であり,連合反応を利用することもある。また,痙縮を伴うことで一部運動が可能な患者には,亢進した伸張反射や痙縮を利用して目的とする運動を実現することもある。さらに,共同運動からより分離した運動を実現させるために行う促通手技もある。このように,脳卒中患者に対する促通手技は一様ではない。これらの促通手技は,諸家が体系化しており,例としてPNF法(proprioceptive neuromuscular facil-itation;固有受容性神経筋促通法),Bobath法,Brunnstrom法,促通反復療法(repetitive facilitation exercise;RFE)などがある。詳細については成書を参照されたい。1促通とは

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