Ⅴ.脱髄・変性疾患
レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies;DLB)は,アルツハイマー型認知症に
次いで多い変性性認知症疾患である。病理学的には大脳皮質にレビー小体が認められる。
レビー小体の存在を特徴とする病態を包含してレビー小体病と呼び,パーキンソン病や認
知症を伴うパーキンソン病(PDD)などが含まれる。
臨床的特徴としては① 注意や明晰さの著明な変化を伴う認知の変動,② 繰り返し出現
する具体的な幻視,③ (認知機能の低下に先行することもある)レム睡眠行動異常があり,
典型的にはこれらの症状が早期から出現する。また,④ ほかに原因がないパーキンソニズ
ムの症状を加え,これら4つを中核的特徴と呼ぶ。必須症状である進行性の認知機能低下
に中核的特徴2項目以上でprobable DLBと臨床診断される(2017年改定 DLB臨床診断基
準)。なお,前述したようにパーキンソン病も非運動症状として認知症を伴いうる。DLB
は認知症の発症がパーキンソニズム発症の1年以内か同時の場合にDLBとすること
“one-year rule”が推奨されている。
MRI
:特異的な所見は認めない(
図1a
)。MRIは脳血管性認知症やアルツハイマー型認知症
との鑑別に有用である。
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I-MIBG心筋シンチグラフィ
:パーキンソン病と同様に集積低下が認められる(
図1b
)。
進行性核上性麻痺や大脳皮質基底核変性症など,パーキンソニズムを伴う変性性認知症疾
患との鑑別に有用である。
ドパミントランスポーターシンチグラフィ
:パーキンソン病と同様に集積低下が認めら
れる(
図1c
)。アルツハイマー型認知症との鑑別に有用である。
脳血流シンチグラフィ
:後頭葉,後部帯状回,楔前部の血流低下が認められ(
図1d
),ア
ルツハイマー型認知症との鑑別が時に困難であるが,DLBでは後頭葉に比べて相対的に後
部帯状回の血流が保持されることが報告されている。
レビー小体型認知症
概念
臨床所見
画像所見
変性疾患
認知機能低下や幻視などの症状に対して,社会的交流や環境調整を通して
安定した精神・心理状態を促す。転倒予防に対する運動療法(筋力強化やバ
ランス訓練)にあわせて,起立性低血圧に対する動作指導,床や照明などの
住環境整備,保護パッドやプロテクターの使用も考慮する。
リハ介入の
ポイント
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