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エビデンス評価 各アウトカムの結果①摂食嚥下機能の改善(重要性8,エビデンスの強さ:D)・検索 重要臨床課題の確認舌がん・口腔がん術後の摂食嚥下障害に対するリハビリテーション治療(摂食嚥下療法)は一般的には必要性があると考えられるが,原発巣・切除範囲・術式などに最終帰結が左右される可能性が高く,そのエビデンスや推奨の程度は不明瞭ともいえる。リハビリテーション治療のランダム化比較試験実施の困難さとも相まって,本ガイドライン初版作成時点ではエビデンスに優れたランダム化比較試験がなく,観察研究を中心とする状況のなかで臨床上の有用性などが総合的に判定され,推奨グレードBという評価となっていた。今回の改訂では同じCQを採用し,本ガイドライン初版以降の文献検索結果を中心に,術後の摂食嚥下療法のさらなるエビデンス・推奨を検証した。グレード2D推奨の強さ弱い推奨エビデンスの確実性とても弱い推 奨系統的文献検索を行い,観察研究2件を採用した。・評価舌がん術後患者58名に対してエキスパートチームによる術後の摂食嚥下療法を10日間(1日30分)実施したZhangら1)の観察研究では,水飲みテストにおける摂食嚥下機能を評価している。50%未満の切除群(30名)は50%以上の切除群(28名)と比べて改善がみられ(p=0.037),がんの初期ステージ群は進行ステージ群よりも改善がみられた(p=0.047)。対象群が舌がん・口腔がんのみではないが,Ahlbergら2)は,頭頸部がん術後374名をセルフケアに基づく早期の予防的な摂食嚥下療法群と対照群の2群に分けた観察研究を行ったところ,摂食嚥下機能の改善に関してポジティブな結果は得られなかった。・統合観察研究が主体かつバイアスリスクと非直接性を認めたため,エビデンスの強さはDとなった。②QOLの向上(重要性7,エビデンスの強さ:D)・検索系統的文献検索を行い,観察研究2件を採用した。56舌がん・口腔がんに対する手術が行われる患者に対して,術後のリハビリテーション治療(摂食嚥下療法)を行うことを提案する。舌がん・口腔がんに対する手術が行われる患者に対して,術後のリハビリテーション治療(摂食嚥下療法)を行うことは,行わない場合に比べて推奨されるか?CQ 02

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