1.非特異的腰痛(腰痛症)  

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姿勢の継続による脊柱起立筋の筋緊張の亢進などが腰痛の原因になっていることが多い。背筋や股
関節,下肢筋の柔軟性や左右差,骨盤の可動性を改善させる。

a.腸腰筋のストレッチング
腸腰筋の短縮は過度な骨盤の前傾を誘発しやすい。可能な限り柔軟性を確保する。初期には背臥

位で行うことが望ましい(

図3

)。

b.ハムストリングのストレッチング
背筋や股関節,下肢筋の柔軟性改善や左右差の是正に努める。
c.下腿三頭筋のストレッチング
足関節背屈制限は骨盤前傾の原因となる。可能な限り柔軟性を確保する。
d.背筋群のストレッチング
背筋群の過緊張は腰痛の原因の一つである。筋緊張を低下させることが大切である。疼痛の生じ

ない範囲から行う(

図4

)。座位での縦・横方向への徒手やボールを利用したダイレクトストレッチ

ングなども有効である(

図5

)。

e.骨盤の前・後傾運動(pelvic tilt)
骨盤を動かすことが理解できない場合が多い。疼痛が生じない程度に,座位姿勢で骨盤を徒手的

に誘導したうえでの前・後傾の運動から開始する。運動が理解できたら自動運動へと進める(

図6

)。

a

b

図3 

腸腰筋のストレッチング

a:背臥位でのストレッチング,b:膝立ち位でのストレッチング
固定が不十分であると効果が得られないため,しっかりと固定を行う。

図4 

背筋のストレッチング

膝を抱え込み,背筋を伸張させる。