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させたり、他の脳細胞で失われた機能を代償させるなんていうリハビリ
のアプローチは、今のところ効果を上げていないよね。だから、今のと
ころは解決困難な原因よ。
それにAさんの件でもあったけども、痛みの原因となると、正直“不
明”と言うしかない場合も多いのよね(23ページ参照)。いろいろな要
素が絡み合って生まれている痛みだから、原因は特定できないのよね。
このwhyのアプローチでは原因がわからなかったり、解決困難だっ
たり、たくさんの要素の相互作用から出てくるような問題では効率が悪
かったり、解決に至らない場合もたくさんあるのよ。
もちろんこのアプローチが有効なケースはあるのよね。たとえば現場
で動き回っていた人が部署異動でデスクワークに移ったとするわ。しば
らくすると、腰痛・肩凝りや階段昇降に息切れがみられたとする。原因
は“運動量の減少と同一姿勢で長い間過ごすため”よね。運動不足や同
一姿勢で過ごすことなら、仕事の合間に体操をいれたりして解決できる
でしょう?」
システム論のアプローチは「what & howのアプローチ」
「一方、システム論では問題が生じると、what & how(何が、ど
んな風に?)と問うて、問題発生の状況や過程を明らかにするの
よ。そして、その状況や過程を変化させれば問題が生じなくなるかもと
考えるわけ。原因に直接当たるのではなく、問題発生の状況を変化させ
るのよね。
だから、システム論の考え方では問題解決に原因を必要としないか
ら、“解決困難な原因”“原因不明”とかのさまざまな原因が考えられ
て、どの原因にアプローチしていいか判断がつかなくても、とりあえず
原因を切り離して問題解決へ向かうことができるのよ(
図11
)。
もちろん原因が明確で解決可能なものならそれをすればいいのよ。手