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このテストは愁訴のない健常者においても陽性
率が高いので,ただちに異常とはいえない。
5
モレーテスト(Morleytest)
肢位
患者を腰掛け坐位にし,検者は患者の
後方に立つ。
検査法
検者は,患側鎖骨上窩部で前斜角筋腱
付着部を指で圧迫する(
図5-10
)。
陽性
圧痛あるいは放散痛
障害
胸郭出口症候群以外にも頸腕症候群や
頸部脊椎症においても高率に陽性となり,特異性
に乏しい。
6
ソート・ホールテスト(Soto-Halltest)
肢位
患者を背臥位にし,検者はその側方に
位置する。
検査法
検者は一方の手を患者の胸骨部に置い
て押しつけるようにし,他方の手を患者の後頭部
に当て,頸椎および胸椎を徐々に前屈させる(
図
5
-11
)。
陽性
胸椎部の局所痛が誘発される。
障害
胸椎の骨や靱帯の損傷および病変を示
す。
注意
テスト途中で,股,膝が屈曲し,下肢が
持ち上がれば髄膜刺激症状を疑う。
腰部疾患検査
腰部の痛みを示す疾患は,理学療法で扱う整形
外科疾患の中で最も多い。理学療法評価について
は,
「臨床応用7.腰痛症」を参照されたい。また,
日本整形外科学会では,治療成績判定基準を
付表
7
-1
のように定めている。その中の徒手的検査に
ついて説明する。
1
ラセーグテスト(Lasèguetest),SLRtest
(straightlegraisingtest)
肢位
患者をベッド上に背臥位にし,検者は
その側方に立つ。
検査法
検者は患側下肢の足首と膝を保持し,
患側下肢は股関節内外転,内外旋中間位で,患側
膝を伸展したまま股関節を屈曲(挙上)する(
図
5
-12
)。
陽性
挙上途中で坐骨神経の経路から大�後
側膝下に放散痛。
障害
健常者では,70°〜90°挙上しても疼痛
がないが,それ以下では神経根症状を示し,腰椎
椎間板ヘルニア(L
4,5
,L
5
S
1
),脊椎すべり症,横靱
帯肥厚,脊柱管狭窄症などで出現。
2
ブラガードテスト(Bragardtest)
肢位
患者をベッド上に背臥位にし,検者は
その側方に立つ。
検査法
ラセーグテストと同じように検査し,
このテストで陽性になった角度より5°下肢を下
げて,足関節の背屈を強制する(
図5-13
)。
陽性
坐骨神経の経路に沿って疼痛が増悪。
●
第5章整形外科疾患検査
89
図5-11
ソート・ホールテスト
図5-12
ラセーグテスト(SLRtest)
図5-13
ブラガードテスト