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B.有酸素運動
3.
有酸素運動の主な種目と特徴
(
図2
)
a.運動種目の選択
●
運動療法開始初期は,
運動中の心拍数・血圧・
自覚症状のモニタリングが容易で,運動強度を
一定に保ちやすい
自転車エルゴメータを使用す
るのがよい。
b.自転車エルゴメータの長所
●
負荷量の調整が容易で正確に定量化できる
。
●
機械的ノイズが少なくモニタリングしやすい
。
●
運動時の患者の姿勢が安定していて転落の危険
性が低い。
c.自転車エルゴメータの短所
●
関節の可動制限がある場合には使用しにくい。
●
自転車に不慣れだと一定回転数を保てない。
4.
運動強度について
a.至適運動強度
●
運動強度は
表2
の理由から心肺運動負荷試験
(cardiopulmonary exercise testing:CPX)で
求めた
嫌気性代謝閾値(anaerobic thresh-
old:AT)を基準
とする。
●
CPXを実施しない施設では,
図3
に示すBorg
(ボルグ)スケールやKarvonen(カルボーネン)
法などにしたがって
ATに相当する強度を推定
し運動強度を決定することもある
。
b.至適運動強度の求め方
●
AT処方
AT時の心拍数,AT1分前のワット数
●
Borgスケール(
図3
)
AT相当の自覚運動強度=11~13
●
Karvonen法
AT相当の心拍数=(最大心拍数−安静時心拍
数)×k+安静時心拍数
kは定数=0.4~0.6(重症患者は0.2から開始)
●
最大心拍数法
AT相当の心拍数=(220−年齢)×0.5~0.7
監視型運動療法
第
章
3
図2
有酸素運動の主な種目に用いる機器
a. アップライトエルゴメータ
c. トレッドミル
b. リカンベントエルゴメータ
d. クロストレーナー
●
AT以下では運動中に換気亢進による呼吸困難感が
生じにくい
●
長時間の持続的運動が可能
●
代謝性アシドーシスの進行や血中カテコラミンの著
しい増加など,心筋に悪影響を与える代謝内分泌系
の変化を生じにくい
●
高血圧,糖尿病,肥満,高脂血症など,冠危険因子
改善に好ましい代謝強度
表2
嫌気性代謝閾値(AT)を基準とする根拠
図3
Borgスケール
20
19
18
17
16
15
14
13
12
11
10
9
8
7
6
非常にきつい
かなりきつい
きつい
ややきつい
楽である
かなり楽である
非常に楽である
適した運動の範囲
適した運動の範囲≒AT
≒AT