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A.ウォーミングアップとクーリングダウン

b.クーリングダウン

クールダウンともよばれ,循環動態を調節して,

運動後の身体の興奮状態を徐々に静める調整段階

位置づけられる。

全身の

疲労をより早く回復させるためのメンテナンス段階

ともいえる。

時間は5~10分がよいとされる。

2.

ウォーミングアップの効果

表1

1)

整形外科的障害の予防

骨格筋や腱などの結合織の伸展性や柔軟性を高め,関節の可動域を

広げる。
2)筋収縮効率の上昇
3)

心臓の後負荷の減少

血液循環を促進し,一酸化窒素の合成を促し,血管を拡張させる。

このことは血管抵抗を減少させ,心臓の後負荷を減少させる。
4)心室性不整脈など

異常心電図出現の抑制

過剰な乳酸産生を抑え,急激な換気の増大やカテコラミン分泌を抑

えることができる。
5)

血小板凝集能の亢進の予防

急激な交感神経の亢進を抑える。

6)

効率よい酸素の使用

身体を温めることで,酸素乖離曲線を右方変位させ,ヘモグロビン

から酸素を放出しやすくする。

3.

ウォーミングアップの方法

ウォーミングアップは,小さな筋肉を使うよりも大きな筋肉を
動かす運動を選ぶ。

自転車エルゴメータを用いた低強度の運動がよい(

図2

)。

ウォーミングアップの強度は最高酸素摂取量の40%未満,低
強度でよい。

留意点

留意点

 血管拡張能が障害されている重度の心不全患者や重度の糖
尿病患者,動脈硬化が著しい患者には,十分に時間をとる。

3

整形外科的障害を予防する

筋収縮効率を高める

心臓の後負荷を減少させる

不整脈の出現を抑える

血小板凝集の亢進を予防する

効率よく酸素を使える

表1

 ウォーミングアップの効果

図2

 ウォーミングアップの一例