表6
に示す。調剤報酬点数表における特定薬剤管理指導加算の対象薬剤はこれに含まれ
る。
一方,国際的には,投与を受ける患者だけではなく医療従事者にも危険がある薬品は
HDと位置付けられ,さまざまな組織や機関がHDの安全な取り扱いに関する報告書や
ガイドラインを作成している。薬剤の性質上,ほとんどの抗がん薬(特に殺細胞性抗が
ん薬)はHDに含まれる。
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海外のガイドラインにおけるHDの定義
海外では1980年頃より抗がん薬を取り扱う医療従事者への職業性曝露に関していく
つもの報告(尿中からの変異原性物質の検出など)がなされた。当初は主に抗がん薬(殺
細胞薬)の安全取り扱いに主眼が置かれており,1986年に米国労働安全衛生庁
表6 ハイリスク薬の定義
2)
1.厚生労働科学研究「医薬品の安全使用のための業務手順書」作成マニュアルにおいて,「ハイリ
スク薬」とされているもの
1)投与量などに注意が必要な医薬品
2)休薬期間の設けられている医薬品や服薬期間の管理が必要な医薬品
3)併用禁忌や多くの薬剤との相互作用に注意を要する医薬品
4)特定の疾病や妊婦等に禁忌である医薬品
5)重篤な副作用回避のために,定期的な検査が必要な医薬品
6)心停止等に注意が必要な医薬品
7)呼吸抑制に注意が必要な注射剤
8)投与量が単位(Unit)で設定されている注射剤
9)漏出により皮膚障害を起こす注射剤
2.平成28年度の診療報酬改定により見直された薬剤管理指導料1の「ハイリスク薬」
薬剤管理指導料1は,以下の指定されている薬剤を用いている患者に薬学的管理が実施された
場合に算定する。
1)抗悪性腫瘍薬
2)免疫抑制薬
3)不整脈用剤
4)抗てんかん薬
5)血液凝固阻止剤
6)ジギタリス製剤
7)テオフィリン製剤
8)カリウム製剤(注射薬に限る)
9)精神神経用剤
10)糖尿病用剤
11)膵臓ホルモン剤
12)抗HIV薬
3.上記以外で,薬剤業務委員会において指定した「ハイリスク薬」
1)治療有効域の狭い医薬品
2)中毒域と有効域が接近し,投与方法・投与量の管理が難しい医薬品
3)体内動態に個人差が大きい医薬品
4)生理的要因(肝障害,腎障害,高齢者,小児など)で個人差が大きい医薬品
5)不適切な使用によって患者に重大な害をもたらす可能性がある医薬品
6)医療事故やインシデントが多数報告されている医薬品
7)その他,適正使用が強く求められる医薬品
(日本病院薬剤師会.ハイリスク薬に関する業務ガイドラインVer.2.2,2016より作成)
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