粘膜皮膚離開

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A

 外科的合併症

a

 早期合併症

111

は待機的外科処置を要する,Grade 4:生命を脅かす:緊急の外科的処置を要する(腹壁全
層におよぶ哆開など),Grade 5:死亡,に分類されている 

6)

Grade 3以上は,重篤な粘膜皮膚離開のカテゴリーに含めるのが妥当であり,消化器外科
医,皮膚科医,皮膚・排泄ケア認定看護師,ET(Enterostomal therapist),ストーマ認
定士,薬剤師,栄養士など多職種が介入して評価し,迅速に治療方針について検討する。

4

局所治療とケア

離開範囲が深部に及んで腹膜炎の症状を呈するようになった場合は,緊急手術によりスト
ーマを再造設するなどの外科的治療が必要となることが多い。

離開が腹壁の表層部でとどまっており,感染を伴っていない場合には,離開した部位を局
所麻酔下で再縫合するのも選択肢の一つである。

粘膜皮膚接合部に感染の症状や徴候(疼痛または圧痛,限局性腫脹,発赤または熱感)が
認められた場合には,経験的な判断に基づいて抗菌薬投与を行う。通常は下部消化管手術
に際して手術部位感染(SSI:surgical site infection)対策として用いる抗菌薬を使用する。
感染部位から採取した検体の細菌培養検査にて起因菌が同定され,感受性検査にて適切な
抗菌薬が判明すれば,それを投与して感染に対する適切な治療や処置を行う。

創傷治癒機転の遅延をひき起こすような全身的な要因がある場合,すなわち低栄養状態や
悪液質,糖尿病,炎症性腸疾患(IBD)の合併,免疫抑制剤・抗癌剤・ステロイドの投与
症例では,その対策も講ずる(

表1

)。

粘膜皮膚離開部位のケアの原則は創傷治癒理論の原則に則った処置を行うことであり,粘
膜皮膚離開の範囲や深さに応じた治療計画を立てることである(

表2

)。

血腫や異物があれば原則として除去する。その後,汚染の少ない離開創については,湿潤
環境,創部の清浄により治癒が促進されることから,温めた生理食塩水での創部洗浄が必
須である。

図3

72歳,男性:下部直腸癌

術前放射線化学療法を実施後に低位前方切除術を施行し,回腸双孔
式ストーマを造設した。術後13日目の装具交換時に7~10時の部
位に13 mm長の粘膜皮膚離開を発見した(A)。滲出液は少量で,浅
い創であったため粉状皮膚保護剤の散布で経過観察した結果,10日
後には治癒した(B)。

A

B

図4

67歳,男性:下部直腸癌

マイルス手術を施行し,S状結腸単
孔式ストーマを造設した。術後10
日目の装具交換時には,全周性に
ストーマ部感染,周囲膿瘍,粘膜
皮膚離開の合併が認められた。