4 プライマリ・ヘルス・ケア

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第1章 

 健康の概念と公衆衛生学

は,日頃の生活習慣の改善がきわめて重要となる。

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 特異的予防

 個別の疾病の病因対策であるが,この予防に適用されるのは,病気の原因が
明らかな健康障害に限られる。たとえば,感染症に対する予防接種や消毒,事故
の防止対策,職業病や公害による健康障害を防ぐための環境対策などがある。

1

 早期発見

 病気になっても,症状がまだ表われない初期にその病気を発見することは,
病気の治癒,病気の進展の軽減,合併症や機能障害の防止,放置された場合のよ
り重篤な障害への進展や当該疾病による死亡を防ぐことになり,実際の予防対
策上の比重は大きい。結核・循環器疾患・がんなどの集団検診,特定健康診査に
よるメタボリックシンドローム対象者の発見などがこれに当たる。多くの慢性
疾患の場合,病気に罹ることを完全に阻止することはむずかしいので,疾病予
防対策の重点は二次予防の段階に置かれている。

2

 早期治療

 早期治療は,個人の重篤化を防ぐだけでなく,感染症の場合は,患者自身の治
癒と同時に,他人への感染の予防にもなる。

 発症した病気の悪化を防止し,機能障害を残さないように臨床的な対策を行
うこと,および社会復帰を図るためのリハビリテーションの2つの段階がある。

1

 悪化防止・機能障害防止

 三次予防は,永久的な欠損や後遺症がまだ固定されていない状態にある場合
に,機能や能力の障害を最小限にするための対策である。その手段としては損
傷した四肢の運動能力を回復させ,硬直などを防ぐための早期理学療法などが
ある。

2

 リハビリテーション

 患者を社会生活に復帰させるために,できるだけ早期に理学療法や作業療法
などによるリハビリテーションを開始することが重要である。

3

 アフターケア

 疾病・障害の再発防止,がんの転移防止など。

b

 二次予防 secondary prevention

c

 三次予防 tertiary prevention