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【学習目標】

1.栄養素の必要量を調べる方法について考えてみる。
2.「日本人の食事摂取基準」の意義とその内容を理解する。
3.エネルギー必要量,タンパク質必要量の決め方について学ぶ。
4.ミネラル類,ビタミン類の必要量を決める要点を理解する。

 栄養素摂取基準量策定の目的は,「健康な個人または集団を対象として,国民
の健康の維持増進を目的とし,エネルギーおよび各栄養素の摂取量の基準を示
すことである」と述べられている。従来は「

日本人の栄養所要量

」として,健康

の維持増進や生活習慣病の予防のために標準となるエネルギーおよび各栄養素
の摂取量が策定されていた。当初は欠乏症の防止が主眼であったが,第6次改
定(2000年4月から2005年3月まで使用)では「許容上限摂取量」という過
剰摂取防止のための指標が初めてとりいれられるなど,時代の要求に対応し5
年ごとに見直されてきた。
 2005年の第7次改定では名称が「日本人の食事摂取基準」となり,5年後に
は2010年版が出され,現在は「

日本人の食事摂取基準2015年版

」となり,

6—1

で示すような新たな概念の指標がとりいれられている。所要量という確定

的なものではなく,摂取範囲が示されたことが特徴である。
 摂取量の基準を示す指標として,推定平均必要量(EAR),推奨量(RDA),
目安量(AI),耐容上限量(UL)と目標量(DG)とが策定された(

表6—1

6—2

参照)。2015年版の使用期間は2015年度から2019年度の5年間である。

 

推定平均必要量

(EAR)とは,特定の集団を対象として測定された必要量か

ら,性・年齢階層別に日本人の必要量の平均値を推定したものであり,当該性・
年齢階級に属する人びとの50%が必要量を満たすとされる1日の摂取量である。

 食事摂取基準とは

6

食事摂取基準

注)「推奨量(RDA)」お
よび「目安量(AI)」は,
第6次改定日本人の栄養
所要量では所要量と呼ば
れた指標に相当する。

注)食事摂取基準とは,
“食事による摂取基準”と
いう意味である。