70199T
2/11

❸位置決めの実際 患者と執刀医,看護師がストーマ位置について意見交換でき,一緒に効果的なストーマ位置決めを行うことができるよう,執刀医と時間調整を行い,ストーマ位置決めを実施する日時を決めることも必要である。 緊急手術の場合は時間的な制約があることや,身体的な症状が強いため,十分な情報収集,オリエンテーションが行えない場合が多い。しかしストーマ造設についてきちんと説明し,可能な範囲でストーマの位置決めを行う。緊急手術の場合はストーマ造設する腸管が決まっていない場合が多いため,必ず執刀医と看護師で実施することが望ましい。136第9章 ストーマの位置決め・プライバシーを保護することができる個室を準備する・仰臥位,座位などマーキングに必要な体位をとることができるベッドや椅子が設置されている部屋を選ぶ・腹部を露出したり,必要に応じて普段の衣服に着替えたりするため,室温など部屋の環境を調整する・医師から病状や手術についての説明,ストーマ造設の可能性,必要性について説明を受け,理解している・ストーマに関して術前のオリエンテーションを受け,ストーマケアの必要性について理解している・ストーマサイト マーキングを受け入れる心理状態であり,実施に同意している・術前の腸処置などによる下痢,腹痛,嘔気などがなく身体的に安定している・術式とストーマ造設の必要性について十分検討され,決定している・腹腔内の状況,疾患の段階,術式などからストーマを造設する腸管の部位を選択し,適切なマーキング部位を環境患者医療者想定する・病状や手術についての説明,ストーマ造設の可能性,必要性について患者,家族に十分な説明を行っている・腹痛や嘔気などの症状コントロールを可能な限り行う位置決めを行う前の準備表9—3—1 ストーマの位置決めを行うための準備 1  ストーマの位置決めは,ストーマ造設の可能性がある場合,緊急症例も含め可能な限り実施することが望ましい。効果的なストーマの位置決めを行うための準備(表9—3—1)を示す。 医師がストーマ造設を行うが,以降のストーマケアを熟知しているのは看護師であり,ストーマ保有者の生活を支援し続ける看護師の役割は大きい。看護師は様々な視点で患者をアセスメントし,同時に家族関係や社会的資源導入の指標など,多角的な情報収集を行う必要がある(表9—3—2)。 ストーマの位置決めは,ストーマに関してのオリエンテーション実施後に行う。手術前日に行うことが多いが,腸の前処置やシャワー浴など前日に行う処置が重なるため,十分に調整をする必要がある。また入院期間の短縮に伴い手術前日に入院するケースも増えてきているため,術前外来を設置し,そこで実施するなど,外来と病棟が協力して行うことが重要である。 2  ストーマの位置決めでは患者は腹部を露出したり,個人情報に関する話を多くするので,手際良く実施するため,必要物品はすべてそろえてから開始する(表9—3—3)。第9章ストーマの位置決め準備と時期必要物品

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る