70199T
11/11

9第9章 ストーマの位置決め[ 1 ~4a)~g)江川安紀子,h)秋山結美子]助骨弓助骨と臍マーキング位置は中点より1〜1.5cm臍寄り上前腸骨棘下腹部の皺■参考文献1)ストーマリハビリテーション講習会実行委員会編:スクリーブランドクリニックの原則臍より低い位置腹部脂肪層の頂点腹直筋を貫く位置皮膚のくぼみ,皺,瘢痕,上前腸骨棘の近くを避けた位置新生児は臍帯からの感染の可能性があるため臍も避ける本人が見ることができセルフケアしやすい位置も必要である。幼児期以降であれば,家族だけでなく本人に対しても,わかりやすい言葉で説明する。 ストーマサイト マーキングは一時的ストーマ造設が多い小児であっても行い,腹直筋内で皺やくぼみを避けた位置を選択する。新生児や乳児の腹部は小さいだけでなく下腹部に深い皺が入り,体幹が円筒状のため平面が得られにくい。腹部の状態は,下肢を屈曲させたり坐位にして確認する。新生児・乳児期のストーマサイトマーキングの特徴を表に示す(表9—3—6)。 小児の消化管ストーマの場合,腸間膜が短く腸管の移動性が乏しいため,ストーマを置く腸管に近い腹壁にマーキングする。ヒルシュスプルング病など術前に病変部位が把握しにくい場合は,いくつかの位置を候補としたマーキングが必要である。また,開腹創やドレーンの挿入位置などを考慮する必要もあるため,医師と相談しながら行う。施設によっては,一時的ストーマを臍の位置に造設することがある。これは,安定した貼付面積が得られやすいこと,ストーマ閉鎖後の創が目立たないなどの利点がある。この場合ストーマサイト マーキングは不要であるが,閉鎖後に臍の形成が必要となることがある。 尿路ストーマの場合,膀胱瘻は膀胱の可動性がないためストーマサイト マーキングをすることは困難であり,尿管皮膚瘻も尿管の長さに余裕がないと腹壁に固定される位置は限られる。そのため消化管と尿路の双方にストーマが造設される場合は尿路ストーマを優先してマーキングを行う。この際,双方のストーマ間の距離は6cm以上あ上腹部にディスクを置くとき肋骨弓にあたらないようにし,腹直筋内に中心が位置するようにする。下腹部ではディスクの下縁が下腹部の皺より上で,かつ中心が腹直筋内の位置で様子をみて,坐位または下肢を挙上してディスクの位置を上方に調節する。〔文献10)より〕トーマケア―基礎と実際.金原出版,19892)ストーマリハビリテーション講習会実行委員会編:ストーマリハビリテーション―実践と理論.金原出版,20063)日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会,日本大腸肛門病学会編:消化管ストーマ造設の手引き.文光新生児・幼児期の特殊性下腹部に深い皺があり,脚の動きによってさらに腹部は狭くなるため,臍からあまり低い位置にはならない臍周囲となる腹直筋の幅が狭い永久ストーマの場合,養育者によるケアからセルフケアへ移行するると管理しやすくなる。 マーキングディスクは小児用として直径6cmのものが使用されるが,体重2,000g以下の低出生体重児の場合は,直径5cm以下のものを作成して用いているのが現状である(図9—3—21)。3.位置決めの実際145表9—3—6 新生児・幼児期のストーマサイト マーキングの特徴図9—3—21 マーキング部位

元のページ  ../index.html#11

このブックを見る