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g)寝たきり高齢者のストーマ 寝たきりの高齢者の場合,腹直筋が狭くて薄い144第9章 ストーマの位置決めず安定したストーマケアを行うため,ストーマの位置決めは重要である。 基本的な手順は,ストーマ位置決めの原則に基づき①~⑬で行う。肥満者の場合体位による腹壁の変化が大きく,座位や前屈位で発生する腹部の深い皺にストーマ装具が重なると管理が難しいため,それぞれの体位で腹部を十分に観察する(図9—3—18)。 どんな体型でも共通するが,仰臥位だけでなく様々な体位で安定し,座位で腹部脂肪層のトップに位置することが望ましい。肥満者は座位になると下腹部が突出し,突出した腹部の尾側が見えないことがある。そのため下腹部にマーキングする際は座位で脂肪層のトップにあるか,自分で見える位置であるかを確認する(図9—3—19,20)。h)小児ストーマ 小児ストーマの多くは新生児期に緊急で造設される。子どもの出生は幸福な出来事であるが,緊急手術が必要となった場合の両親の動揺は大きく,子どもの病状を理解して状況を受け入れることは容易ではない。ストーマサイト マーキングはストーマケアの第一歩であり,できれば家族の同席のもと医師と一緒に行う。出産直後で母親が同席できない場合は,父親を介して母親への支援ことが多く,肋骨弓や上前腸骨棘の骨突出が著明で平面が確保しにくい場合がある。仰臥位で基本線を引き,原則に基づいてストーマの位置決めを行うが,ストーマケアや排泄物の処理を行う介護者とも相談してマーキングを行う。またストーマ袋内に排泄物がたまりやすいよう,ストーマの高さを出すなど,造設時の工夫も必要である。図9—3—18 肥満者の理想的なストーマ位置仰臥位でも座位でも平面の確保が可能図9—3—19 肥満者の仰臥位でも残る下腹部の皺図9—3—20 肥満者の座位自分で見ることができない部位

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