2.ミコフェノール酸
25
Ⅱ
2
トラフ値の評価において,2時間程度の採血時間のずれは許容される。
4
目標血中濃度
●
心移植ならびに腎移植の場合AUC
0-12
30〜60μg・hr
/
mL(EMIT法やPETINIA法で
は,AUC
0-12
37〜70μg・hr
/
mL)を目標とする。トラフ値はばらつきが多いが,1.0〜
3.0μg
/
mL(HPLC-UV法,Enzyme mimicking assay法),1.3〜4.5μg
/
mL(EMIT
法やPETINIA法)を参考にする。他の臓器移植についてもこれらの情報を参考にする。
5
投与設計
●
成人に対しては,1回750〜1,000mgまたは10〜15mg
/
kg
/
回を1日2回12時間毎に
投与する。なお,投与量については,患者の病態や免疫抑制薬のプロトコールに合わ
せて,適宜,増減する。
●
食事の影響は受けにくい。採血回数を減らすため,併用されるカルシニューリン阻
害薬と投与タイミングを合わせる。
6
特定の背景を有する患者など
●
腎機能障害患者・透析患者:クレアチニンクリランス25mL
/
min以下の患者では,
減量を考慮する。腎機能障害時には,TDMの実施頻度を増やす。腹膜透析や血液透
析を行っている患者では,TDMの実施頻度を増やす。
●
肝機能障害患者:軽度の肝機能障害であれば,投与量の減量を必要としない。T
チューブによる体外への胆汁の排泄を行っている患者では,TDMの実施頻度を増やす。
●
小 児:年齢(体表面積)に応じて,投与量の調節が必要である。
●
高齢者:積極的な投与量の減量を必要としない。
●
妊婦・授乳婦:妊婦または妊娠している可能性のある患者に対する催奇形作用や母
乳中への移行が認められている。わが国の添付文書には禁忌と記載されている。
●
糖尿病:胃内容排出能遅延が吸収速度に影響するため,AUC
0-12
を用いた評価を行う。
●
低アルブミン血症:血清アルブミン値3.1g
/
dL以下の患者では,遊離形分率が上昇
する。
7
薬物相互作用
●
カルシニューリン阻害薬切り替え時には,血中濃度が変わるため,TDMを実施する
(シクロスポリンの場合,ミコフェノール酸の血中濃度が低下する)。