A.有害事象記載法

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どでは説明できないもの。

② probable:おそらく,十中八九は

 治療との因果関係は妥当であり(reasonable),原病の増悪,併存症,ほかの薬剤・治療
などによるものではなさそうなもの。

③ possible:ありうる

 治療との因果関係は妥当である(reasonable)が,原病の増悪,併存症,ほかの薬剤・
治療などでも説明できるもの。

④ unlikely:ありそうにない

 治療との因果関係は明らかでなく(improbable),原病の増悪,併存症,ほかの薬剤・
治療などで説明されるもの。

⑤ notrelated(unrelated):関係ない

 治療との因果関係はなく(improbable),原病の増悪,併存症,ほかの薬剤・治療など
で明らかに説明できるもの。

⑥ unassessable(conditional):評価不能

 判断するデータが不十分で,より詳細なデータが必要なもの(conditional),または評価
困難なもの。

b

有害事象の判定基準

 有害事象は特定の医学的事象を一意的に表すように定義された用語である。有害事象を
正確に定量化して標準化することは,医学的な記録や報告および科学的分析のために必要
なばかりではなく,精巣腫瘍患者に各種治療法の得失を説明する際にも役立つと考えられ
る。
 有害事象の判定基準として,2009年5月に米国National Cancer Institute(NCI)の
Cancer Therapy Evaluation Program(CTEP)が公表し,その後,誤記訂正を経て同年
10月に公表した「Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)v4.02」
の日本語訳JCOG版「有害事象共通用語規準v4.0日本語訳JCOG版」

(略称:CTCAE v4.0—

JCOG,2009年12月28日発表,2010年9月11日改訂)

2)

がある。最近欧米では,外科治

療の術後合併症の評価法としてClavien分類

3, 4)

が使用されている。

1

) 有害事象共通用語規準v4.0日本語訳JCOG版

 「NCI有害事象共通用語規準v4.0」(「巻末資料」参照)は,有害事象(AE)の評価や報
告に用いることができる記述的用語集である。また,各AEについての重症度のスケール

(Grade)を示している。CTCAEではGrade 1~5を以下の原則に従って定義しており,

各AEの重症度の説明を個別に記載している。なお,異なったAEの重症度を比較するこ
とはできない。

 Grade 1   軽症;症状がない,または軽度の症状がある;臨床所見または検査所見のみ;

治療を要さない。

 Grade 2   中等症;最小限/局所的/非侵襲的治療を要する;年齢相応の身の回り以外の日

常生活動作の制限。