28

われる。その期間はⅠおよびⅡ型では4日間

14,18)

程度,Ⅲ型では7日間以上

14,18-20)

が標準的である。一方,抗菌剤投与に関しては適切な文献が少なく,今後の研究
に期待したいが,現時点では以下の方針が適当と考えられる。実質臓器内は本来
無菌的であることが多く

21)

必ずしも抗菌剤投与が必要とは限らない

9,14)

。尿漏に

よる感染が懸念される場合はセフェム系,ニューキノロン系やβ‐ラクタマー
ゼ阻害剤配合ペニシリン系を用いる

21)

。期間については,ⅠおよびⅡ型では1週

間以内

14)

,Ⅲ型では炎症反応の有無を参考に1週間以上

20)

とする意見がある。

保存的治療を行う上で注意して観察すべき点は,大量出血または尿漏の遷延が

疑われる兆候,および生命を脅かす合併損傷を見落とさないことである。中島

18)

は,無輸血・無処置で経過観察し得た46症例中39例(85 %)が,受傷後2

日目までに血清Hb値がnadirとなっており,このようなHb値の推移は保存的治
療で経過をみる場合の参考になる可能性を示唆している。CTでGerota筋膜を超
えるほどの大きな血腫を認めた場合や,膀胱タンポナーデをきたすような尿路へ
の出血を認めた場合は緊急IVRが必要といった意見

6)

もある。持続する発熱や

尿路閉塞に伴う側腹部痛を認めれば,尿漏の遷延

19,22-25)

を疑い精査をすすめるべ

きである。合併損傷に関して,新垣ら

7)

は559症例中295例(53 %)に存在し,

頭部,胸部,腹部をはじめ,骨盤骨折など重症例も多く,腎外傷が直接死因にな
った症例はなかったと報告している。さらに保存的治療が可能な深在性穿通性腎
外傷であっても,腹腔内他臓器損傷を合併していると初期に開腹手術が必要にな
るといった報告

26)

がある。受傷腎がもともと嚢胞・水腎症・悪性腫瘍などを有

する疾病腎損傷

9,27-29)

の場合,その経過に注意すべきである。外傷が軽微な割に

血尿が強度であったり,CTの異常が顕著な場合はこの病態を疑う必要がある。

Ⅰ型・Ⅱ型では,回復傾向を確認する目的で受傷4日目ごろにrepeat CTを行

うことは有用である。中島

30)

はⅠ・Ⅱ型腎外傷の安静期間を4日と述べている。

判断材料として造影CTを行うと,治癒傾向にある損傷腎では,腎周囲の血種が
吸収され縮小するのが観察できる。Ⅲ型であれば,病変悪化を確認するため遅く
とも48時間以内のrepeat CTは必要

31)

である。その後については,重度腎外傷

症例の場合,臨床症状がなくても合併症としての仮性動脈瘤発見のため受傷数日
後にrepeat CTを行うべきという意見

32)

があるが,定期検査に否定的な報

15,17,31,33)

も散見される。以上の状況から現時点では,少なくとも臨床症状や血

液検査データの異常を認めれば,repeat CTを躊躇なく施行すべきと思われる。