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治療・塞栓術

B

推奨グレード

 

治療・塞栓術

13

CQ

結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫が破裂し

た場合の腎動脈塞栓術はどのように行うか?

止血のために直ちに腎動脈塞栓術を行うことが推奨される。血行動態
が不安定な場合や破裂による腎障害が強い場合は,止血を優先させ,
腫瘍縮小のための塞栓は後日施行する。

 

AMLが破裂した場合,肉眼的血尿や腫瘍内および後腹膜内血腫を来し,
血行動態が不安定になると直ちに治療が必要な緊急事態となる。腫瘍内に

破裂した場合は,血行動態が安定していれば予防的腎動脈塞栓術と同様の方法で
止血と腫瘍の縮小を目的とした腎動脈塞栓術が施行可能な場合がある。

腎動脈塞栓術,特に超選択的腎動脈塞栓術は正常腎実質の損傷を最小限にとど

めることが可能であるため,推奨される治療法である。つまり,マイクロカテー
テル先端を出血源となっている破裂した腎動脈瘤の近傍まで可能な限り進める。
腎動脈瘤破裂部位までマイクロカテーテルを到達できた場合は,同部位をマイク
ロコイル等で閉塞するのが一般的である。多くの患者は既に腎機能障害を生じて
おり,さらなる腎損傷は非常に危険であるため,最優先すべきことである。

塞栓物質については予防的腎動脈塞栓術と同様,一致した見解は得られていな

い。Hamlinらはゼラチンスポンジのみでの塞栓,ポリビニルアルコールのみで
の塞栓,ポリビニルアルコールとコイルの併用による塞栓を経験しており,各々
の塞栓物質のメリット,デメリットについて述べている

1)

。ゼラチンスポンジは

良好な塞栓効果が得られ,簡便であるが再吸収により血流が再開する危険性があ
る,コイルは永久的な塞栓効果が得られるものの側副路形成のリスクがあり,再
度,塞栓するのが困難となる,ポリビニルアルコールはより末梢領域での永久的
な塞栓効果が期待できるものの,細血管レベルでは塞栓できない,無水エタノー
ルは細血管レベルでの塞栓効果も得られるが,毒性が高く組織壊死の危険性があ
る,という長所,短所を有している。橋本らは腫瘍内微細血管まで塞栓可能で,
注入時の視認性に優れた無水エタノールとリピオドールの混濁液での塞栓が現時
点でもっとも有望と述べている

2)

。Pappasらは塞栓物質としてコイルよりも吸収

解説