化学療法開始前にInternational Germ Cell Consensus Classification
(IGCCC)に準じて予後分類を行うことが推奨される。
予後良好群にはBEP(ブレオマシイン,エトポシド,シスプラチン)療法3
コースが,予後中間群および予後不良群にはBEP療法4コースが標準的な導入
化学療法として推奨される。
BEP療法(
表
)は,現時点での進行性精巣腫瘍初回化学療法に
おける標準治療と考えられる
1)
。精巣腫瘍では治療前予後因子を用いた予後分類
が提唱され,それに応じた治療の個別化が推進されてきた。IGCCCは転移を有す
る胚細胞腫の治療前予後因子にもとづいた分類法
2)
で国際的に最も広く用いられ
ている。IGCCCで予後良好群に分類された症例に対する初回化学療法としては,
BEP療法を3コース行うことが推奨される
3,4)
。予後良好群に対する化学療法の施
行回数については,EORTCによりBEP療法3コースと,BEP療法3コース+
EP療法1コースによるランダム化比較試験が行われた。結果として両者の治療
成績が同等であることが示され,予後良好群に対してはBEP療法3コースが十分
な治療であることが確認された
3)
。一方,予後良好群では,化学療法の軽減化,
特に肺毒性への配慮からブレオマイシンの省略が試みられたが,BEP療法3コー
スとEP療法3コースを比較した場合には,後者の治療成績が有意に不良である
ことが示された
4)
。これに対してBEP療法3コースとEP療法4コースの比較で
は,両者の治療成績に有意差はなかった
5)
。したがって,比較的高齢者
6,7)
(40—50
歳以上)や腎機能不良例
6)
などのブレオマイシン肺障害のリスクの高い症例には,
EP療法4コースがBEP療法3コースの代替として適応しうる
5)
。
一方,予後中間群,不良群に対する初回化学療法としては,BEP療法4コース
が標準治療として推奨される
1)
。予後不良群に対してはBEP療法4コースとBEP
療法2コース+大量化学療法2コースを用いた導入療法のランダム化比較試験が
行われたが大量化学療法の有用性は認められなかった
8)
。同様にBEP療法4コー
スとVIP(エトポシド,イホスファミド,シスプラチン)療法4コースのランダ
ム化比較試験でも,両者の治療成績に有意差はなく,VIP療法で骨髄抑制が増強
する傾向が認められた
9)
。この臨床試験では,その後の追跡調査
10)
でも長期成績
A
A
推奨グレード
A
A
推奨グレード
解 説
精巣腫瘍診療ガイドライン 2015年版
46
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初回化学療法としてBEP療法は推奨されるか?
CQ
13