IGCCCは,進行性精巣腫瘍の予後および治療法を決定するために,必要不可
欠である。
ただし,最近の検討ではpoor prognosisであっても,予後改善の傾向がある。
また,サルベージ化学療法時の新しい予後予測モデルの構築が近年試みられて
いる。
1997年にIGCCCGから,IGCCC(
付表2
,8ページ参照)が報
告されて以来
1)
,進行性精巣腫瘍は,IGCCCに基づいて導入化学療法の選択や治
療方針の決定がなされるようになり,IGCCCの有用性については疑う余地はな
い。しかし,IGCCCが報告されてから15年以上が経過し,治療法の進歩や症例
の集約により,現状とのずれが生じている。そのため,IGCCCの有効性について
の再検討がなされ,特にpoor prognosisをサブグループ化し,より予後を反映す
る試みがなされた。
Dijkらは,1989年以降の症例について記載された10論文を検討し,1,775例の
NSGCT(non—seminomatous germ cell tumor)についてmeta—analysisを行っ
た。その結果,good prognosis,intermediate prognosis,poor prognosisの各群
の予後が,94%,83%,71%であり,近年の化学療法の進歩によるpoor prognosis
の予後改善が著しいことを示した
2)
。本邦でも多施設共同研究が行われ,296例に
ついて検討がなされ,IGCCC poor prognosisの予後改善が著しい結果を報告して
いる
3)
。サブグループ解析では,Dijkらは,IGCCCの問題点として,用いたrisk
factorを挙げている。IGCCCGから提供された3,048例のNSGCTのデータをCox
regression modelを用いて解析し,IGCCCを上回ることができなかったが,poor
prognosisでは3グループに細分化が可能であり,計5つのrisk groupに分類す
ることで,より予後を反映するとした
4)
。
また,Kollmannsbergerらは,332例のpoor prognosis群をCART(classifica-
tion and regression—tree)analysisを用いて検討した。この解析では,精巣また
は後腹膜原発か縦隔原発か,肺以外の実質臓器転移の有無,後腹膜転移巣が10
cm未満か否か,転移巣の数,AFP,hCG—β,LDHの値をrisk factorとして用
い,“very poor”群を同定することが可能であったと報告した
5)
。
また,International prognostic factors study groupはシスプラチンベースの
1st line化学療法後の抵抗例,または再発例でサルベージ化学療法を施行した
A
A
推奨グレード
解 説
25
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IGCCC(International Germ Cell Consensus
Classification)は予後予測に有用か?
CQ
6