α—胎児性タンパク(alpha—fetoprotein:AFP)およびヒト絨毛性性腺刺激ホ
ルモン(human chorionic gonadotropin:hCG)は,胚細胞腫瘍の診断お
よび治療の効果判定に必須である。
AFP分画(AFP—L3)は,時に病勢を反映し,参考になる。
乳酸脱水素酵素(lactic dehydrogenase:LDH)は,精巣腫瘍に特異的では
ないが,陽性率は高く,特にセミノーマでは有用である。また,IGCCCの判
定に必須である。
精巣腫瘍の腫瘍マーカーとしてのAFP,hCG,LDHの重要性
は確立されており,1997年にIGCCC(International Germ Cell Concensus Clas-
sification)が報告されて以来,病期診断,治療効果判定,経過観察に必須なもの
となっている
1)
。このIGCCCにおける腫瘍マーカーの評価時期は初診時と考えが
ちであるが,精巣摘除後(化学療法前)であることに留意すべきである。さて,
全精巣腫瘍のうち約50%は1つないし2つの腫瘍マーカーが上昇していると報告
されている
2,3)
。これら3種類のマーカーは,転移を有する非セミノーマでは,特
に治療後の再発の初期徴候となりうるため重要である。
LDHをAFPやhCGと比較すると,精巣腫瘍に疾患特異性があるわけではない
が,進行癌や再発の症例で上昇が見られるために有用と考えられている
4)
。肝疾
患などの他疾患でも上昇しうるため,その解釈には注意が必要である。Venkita-
ramanらは499名のStage Ⅰ精巣腫瘍の経過観察でのLDH測定の意義について
検討した
4)
。その結果,再発患者15名中6名にLDH上昇を認めたが,持続的な
偽陽性が9.1%に見られ,結果的に感度は40%,特異度は90.5%,positive predic-
tive valueは12.8%であり,経過観察中のLDH測定は有用であるが,その解釈に
は注意を要すると報告した
4)
。
AFPはいずれのStageにおいても胎児性癌や卵黄囊腫瘍で上昇するが,肝疾患
でも上昇することがある。AFPは非セミノーマの50—70%で上昇すると報告され
ている。Beckらは779名の非セミノーマ患者で,後方視的に精巣摘除術前の血清
A
A
推奨グレード
BB
推奨グレード
A
A
推奨グレード
解 説
精巣腫瘍診療ガイドライン 2015年版
20
●
精巣腫瘍の腫瘍マーカーとして,何が推奨されるか?
CQ
5