BEP療法は3週サイクルで可能な限り既定の投与量を維持して行う必要があ
る。しかし,ブレオマイシンによる肺障害を認めた場合は,以後のブレオマシ
インの使用を中止することが推奨される。また,前治療で骨髄抑制による重篤
な合併症を認めた場合は,次コースでの減量が考慮されるが,これらの合併症
を回避するために,好中球減少や血小板減少に対する支持療法を適切に行うこ
とが重要である。

 標準導入化学療法であるBEP(ブレオマシイン,エトポシド,

シスプラチン)療法においては,ブレオマイシンによる間質性肺炎や肺線維症が
臨床的に疑われた場合は以後のブレオマシインの投与を中止することが推奨され

1—3)

。次コース以後の導入療法については,IGCCC予後良好群ではEP(エトポ

シド,シスプラチン)療法

4)

が,IGCCC予後中間,不良群ではVIP(エトポシド,

イホスファミド,シスプラチン)療法

5)

が代替治療として選択可能である。

 骨髄抑制に関しては,前治療における白血球(好中球)数や血小板数のNadir
値を目安として次コースの投与量を減量する必要はない

1)

。ただし,一部の臨床

試験では骨髄抑制に関連する合併症(血小板減少による出血など)を認めた場合
に,次コースでエトポシドを20—25%減量すると規定されている

1—3)

。海外では

BEP療法におけるG—CSFの予防投与を推奨する意見

6)

と否定的な意見

7)

がある。

ただし,後者においても先行する化学療法で重症な感染症を合併した場合には,
次コース以降のG—CSF予防投与が推奨されている。一方,本邦では精巣腫瘍化
学療法におけるG—CSFの予防投与が保険で承認されている。いずれにしても,
好中球減少に対する感染対策や血小板減少の管理などの支持療法を適切に行うこ
とが,強度を維持したBEP療法を遂行するうえで重要である。
 腎機能障害に関してはシスプラチンの投与基準として,血清クレアチニン値3 
mg/dL以上やクレアチニンクレアランス40 mL/min未満の場合に中断して回復
後に再開すると規定した臨床試験

2,3)

があるが,統一されたエビデンスはない。ブ

レオマイシンに関しても,血清クレアチニン値2 mg/dL以上やクレアチニンクレ
アランス40 mL/min未満などの場合に中止するなどの意見

2,8)

があり,統一され

ていない。腎機能低下時の抗癌剤投与量の減量に関してはBEP療法でのエビデン
スではないが,クレアチニンクレアランス値に応じた各種抗癌剤の減量に関する
ガイドラインが複数,提唱

9,10)

されている。

A

A

推奨グレード

解 説

49

精巣腫瘍導入化学療法で高度な副作用を認めた場合,

次コースでの投与量を維持すべきか?

CQ 

14