いくら短く切っても爪甲の先端には白い部分が現れてきます。爪先に白い部分があるのが,正常な爪なのです。 世の中には自分で爪を切れない人もいます。乳幼児の場合は,保護者や保育所の職員が爪を切ります。高齢者の場合も,足趾爪を切るのは大変な場合があります。視力の衰えた人も自分で爪を切ることができません。肥満のために足趾爪に手が届かない人もいます。握力が衰えて,肥厚した足趾爪を切れない人もいます。適切な爪切りがないために,肥厚した足趾爪を切れない人もいます。デイ・サービスを受けていれば,そこの職員が爪を切ることになります。爪は短く切ればよいものではありません。 俗に,ニッパー型爪切り(正式にはリストン型爪切り鉗子)といわれている爪切りが役立ちます。 図3に示す症例は,67歳の男性で大阪市西成区在住の人です。ケアマネージャーが近くの外科,整形外科,皮膚科を受診して,爪切りを依頼したのですが,どの医師も無理との返答だったとのことで,堺市にある私の診療所を受診しました。 ニッパー型の爪切りで簡単に,変形した厚い爪甲を切り,靴を履いて歩けるようになりました。どうして,爪切りを断られたのか理解に苦しみました。爪の変形が酷いために,爪切りを躊躇したのかもしれません。図3 全足趾爪の肥厚(分厚い)と変形(67歳,男性)17
元のページ ../index.html#3