医原性皮膚疾患としての脱毛15による場合)など。発症機序•頭皮の瘢痕治癒による毛包の障害,欠損が原因で,発毛が永久に停止する。•脱毛時期については,成長期脱毛では成長期毛が退行期,休止期へと順次移行するため一定の期間が必要である。抗がん剤による脱毛では投与1〜2週間後より,びまん性にバッサリ抜ける。脱毛は頭髪のみではなく,全身の体毛に生じる(ただし眉毛や睫毛は休止期毛が多いため脱落しないことが多い)。なお,脱毛は一過性,可逆性であり,抗がん剤投与が終われば徐々に発毛してくる。•主な抗がん剤の単剤での脱毛発現率を表1-2に示す。現在の化学療法は多剤併用であり,脱毛は高頻度に出現する。アントラサイクリン系やタキサン系薬剤などでは一定量以上の薬剤量で,ほぼ必発といえる。予 防•抗がん剤による脱毛を予防する有効な方法はない。海外では頭部冷却装置を用いた方法があるが2),日本では保険適用にはなっておらず,臨床研究の段階である。4 薬物:抗がん剤の副作用としての脱毛•急性の場合には,多数の毛が短期間のうちに抜けてくる。この場合,障害が加わってから2週間前後で急激に脱毛することが多い。この期の脱毛原因として薬物が挙げられるが,なかでも抗がん剤による脱毛は,ほぼ必発である。その他の薬物では稀である。
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