12・牽引性(髪結性)脱毛:日本髪でその中央が持続牽引されて生じ•圧迫性脱毛のうち,長時間にわたる全身麻酔下で枕に接している頭に生じる脱毛(術後脱毛症)や,瘢痕性脱毛のうち鉗子分娩や吸引分娩などの皮膚損傷による頭皮の脱毛は,医原性脱毛と考えられる。 外傷性(または機械性)脱毛,成長期脱毛,休止期脱毛などは医原性でも起こりうる。また薬剤による脱毛は,その機序から,大きく炎症反応が毛包に波及することで生じるもの(扁平苔癬型薬疹)と,毛周期(成長期と休止期)に作用して生じるもの(それぞれ成長期脱毛と休止期脱毛)に分類される。この中で,特に抗がん剤による成長期脱毛は,その頻度が高く,かつ深刻に患者を悩ます。医原性(薬物を含む)脱毛の種類と医療行為を細胞周期別に表1-1のように分類した。1 外傷性(または機械性)脱毛•外傷性脱毛とは機械的刺激によって生じる脱毛の総称で,原因はさまざまである。このうち,医原性脱毛として全身麻酔下での手術を受けた後に生じる術後脱毛症や,鉗子分娩・吸引分娩により生じた瘢痕性脱毛がある。医原性皮膚疾患としての脱毛
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