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第6章 熱傷診療ガイドライン
熱傷の予後因子および予後推定にはなにが有用か?
CQ4
熱傷面積(全体表面積に対するパーセンテージ:%TBSA;total body surface
area)気道損傷の有無,III 度熱傷面積,熱傷予後指数(PBI;Prognostic Burn
Index),年齢, Burn Indexなどを予後推定因子として推奨する。
熱傷面積
気道損傷の有無,III 度熱傷面積,熱傷予後指数,年齢,Burn Index
・
熱傷面積(%TBSA)に関してはエキスパートオピニオンしかなく
エビデンスレベル
VI
であるが,熱傷の予後推定に関する文献
14)〜29)
において熱傷重症度を考える上で
基本となるものである。また,予後推定に有用であるとの意見も多いため,
推奨度
1D
とした。
・
年齢
14)〜16)18)20)21)24)25)
(
エビデンスレベルIVa〜V
),気道熱傷
15)21)23)25)26)29)
(
エビデン
スレベルIVa〜IVb
)が予後推定因子であるとする論文は多く,III度熱傷面積
24)25)
(
エビデンスレベルIVa
)を予後推定因子とする論文もみられた。いずれも熱傷患者
数百人〜数千人を対象とした研究であり,
推奨度1C
である。Burn Index
26)
,熱傷予
後指数(PBI)
17)
については
エビデンスレベルIVa〜IVb
であり,わが国では臨床的
に広く用いられており
推奨度1C
である。また,自殺企図による受傷
27)
や精神疾患
の合併
24)
も死亡率に関与しているという文献もみられた。
推奨文
推奨度
1D
1C
◉
解説
表3
Artz の基準(文献12より一部改変)
重症熱傷
・ II 度30%TBSA 以上
・ III 度10%TBSA 以上
・ 顔面,手,足のIII 度熱傷
・ 気道熱傷の合併
・ 軟部組織の損傷や骨折の合併
・ 電撃傷
中等度熱傷(一般病院で入院加療を要するもの)
・ II 度15 ~ 30%TBSA のもの
・ III 度10%TBSA 以下のもの(顔,手,足を除く)
軽症熱傷(外来で治療可能なもの)
・ II 度15%TBSA 以下のもの
・ III 度2%TBSA 以下のもの
TBSA;total body surface area