7.他の治療法の選択
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褥瘡診療ガイドライン
2
外科的治療,ラップ療法以外では,どのような局所治療が行
われているのか?
CQ35
水治療法,赤外線〜可視光線療法,低出力レーザー療法,高圧酸素療法を推奨す
る。また,紫外線療法,電気刺激療法を選択肢の 1 つとして提案する。
水治療法,赤外線〜可視光線療法
低出力レーザー療法
高圧酸素療法
紫外線療法,電気刺激療法
・
水治療(hydrotherapy)にはランダム化比較試験が1つある
380)
。
エビデンスレベル
II
であり,
推奨度1A
である。赤外線療法にはランダム化比較試験が1つある
381)
。
エビデンスレベルII
であり,
推奨度1A
である。低出力レーザー療法にはランダム
化比較試験が1つある
382)
。
エビデンスレベルII
であるが,照射群との間に差がな
く,
推奨度1B
とした。高圧酸素治療には症例報告が1つある
383)
。
エビデンスレベ
ルV
であり,
推奨度1C
である。紫外線療法にはランダム化比較試験が1つある
384)
。
エビデンスレベルII
であるが,現在,用いられていないクロマイヤー灯を使用して
おり,
推奨度2A
とした。電気刺激療法には,メタアナリシス
385)
とランダム化比較
試験
386)387)
がある。
エビデンスレベルI
であるが,わが国では褥瘡に対する保険適用
がないので,
推奨度2A
とした。
・
水治療にはランダム化比較試験
380)
があり,創の面積は対照生食ガーゼドレッシング
と比較して有意に減少したとされるが,そのメカニズムについては言及されていな
い。なお,本治療法は,不感温度(35.5〜36.6℃)に加温した温水あるいは渦流によ
る物理的な刺激を全身(ハバード浴療法),あるいは部分的に(渦流浴療法)与える
ものである。
・
光線療法のうち,赤外線療法は創傷治癒に効果があるとする報告が多数ある。褥瘡に
対して行われたランダム化比較試験では,非照射群と比較して有意に治癒が早かっ
た
381)
。しかしながら,赤外線は使う器具により放射する波長の帯域が違うため,ど
の帯域が有効なのかは結論がない。低出力レーザー療法はランダム化比較試験で非照
射群と褥瘡の治癒に差がないことが報告されている
382)
。紫外線療法については,盲
検化したランダム化比較試験で,クロマイヤー灯を用い,2.5
MED週2回から開始,
徐々に照射量を増加させ,紅斑を持続させることにより,照射群の治癒促進すること
が示されている。症例数は各群8例ずつと少ない
384)
。光線療法全般に対し,
推奨文
推奨度
1A
1B
1C
2A
◉
解説
◉
解説
◉
解説