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ている。慢性の代表が　⑨，⑩　である。皮膚病理
所見は

図2

中段に示すように，急性状態が海綿

状パターン（spongiotic pattern）＋表層血管周
囲性パターン（superficial perivascular pat-
tern），亜急性状態が海綿状パターン＋乾癬様
パターン（psoriasiform pattern）＋表層血管周
囲性パターン，慢性状態が乾癬様パターン＋錯
角化を伴う角質肥厚（parakeratosis）＋表層血
管周囲性パターンを示している（先に書かれた
ものがメインなもの）。

図2

下段に示すように

海綿状パターンが急性の状態，乾癬様パターン
が慢性の状態を反映している。なお湿疹・皮膚
炎群での「苔癬化」は表皮の肥厚を伴い，皮革
様硬化形成の著明な状態を示すものであり，病
理学的な苔癬状パターン（lichenoid pattern，本章 
71ページ）とは一線を画し，同一の概念ではない。
　

図3

に示すように，浸潤する炎症細胞がほぼ

リンパ球のみから成るか，好酸球あるいは好中
球を有意に伴うかによって，ハイブリッド診断
の方向性が異なる。リンパ球が主体のものは，

前述した湿疹・皮膚炎群（①　アレルギー性接触
皮膚炎，②　光アレルギー性接触皮膚炎，③　刺激
性接触皮膚炎，④　異汗性湿疹，⑤　自家感作性皮
膚炎，⑦　貨幣状湿疹，⑧　脂漏性皮膚炎，⑨　慢
性単純性苔癬，⑩　皮脂欠乏性湿疹など）があ
り，これらの湿疹・皮膚炎群とは別に，⑪　うっ
滞性皮膚炎，⑫　慢性色素性紫斑（

Gougerot‒

Blum，Majocchi病など），⑬　多形日光疹，⑭　
ウイルス性発疹などがある。好酸球がより目立
つ（病変の初期から最盛期）疾患群として，⑮　
虫刺症，⑯　妊娠性瘙痒性蕁麻疹状丘疹局面症，
⑰　色素失調症が挙げられる。好中球を混じてく
る疾患群としては　⑱　色素性痒疹，⑲　早期乾癬，
⑳　膿痂疹，㉑　真菌症が挙げられる。平坦な表皮
の中に海綿状態をみることがあり（粃糠疹様海
綿状パターン），これらはmounds of parakera-
tosis（4章29ページ参照）を示してくる疾患群
である。以上で皮膚病理学的に海綿状パターン
を示す重要疾患が網羅できると考えられる（

図

3

）。

表1

　海綿状パターンを示す疾患の一覧

①　アレルギー性接触皮膚炎（allergic contact dermatitis）
②　光アレルギー性接触皮膚炎（photoallergic contact dermatitis）
③　刺激性接触皮膚炎（irritant contact dermatitis）
④　異汗性湿疹（dyshidrotic eczema）
⑤　自家感作性皮膚炎（autosensitive dermatitis, id reaction）
⑥　アトピー性皮膚炎（atopic dermatitis）
⑦　貨幣状湿疹（nummular eczema）
⑧　脂漏性皮膚炎（seborrheic dermatitis）
⑨　慢性単純性苔癬（lichen simplex chronicus Vidal）
⑩　皮脂欠乏性湿疹（asteatic eczema） 

（以上がいわゆる湿疹・皮膚炎群）

⑪　うっ滞性皮膚炎（stasis dermatitis）
⑫　慢性色素性紫斑（purpura pigmentosa chronica）
⑬　多形日光疹（polymorphous light eruption）
⑭　ウイルス性発疹（viral exanthema）
⑮　虫刺症（arthropod bites）
⑯　妊娠性瘙痒性蕁麻疹状丘疹局面症（pururitic urticarial papules and plaques of pregnancy；PUPPP）
⑰　色素失調症（incontinentia pigmenti）
⑱　色素性痒疹（prurigo pigmentosa）
⑲　早期乾癬（early stage of psoriasis）
⑳　膿痂疹（impetigo）
㉑　真菌症（dermatophytosis）
㉒　Gibertバラ色粃糠疹（pityriasis rosea Gibert）
㉓　遠心性環状紅斑（erythema annulare centrifugum；EAC）